政治、経済、モラル チュニジアを襲う3つの危機

チュニジアのカイス・サイード大統領(右)|Slim Abid / Tunisian Presidency via AP

◆IMFとの交渉も難しく
 チュニジアは国際通貨基金(IMF)とも、昨年10月から約20億ドルの融資の交渉をしているが、そちらもまだゴーサインは出ていない。チュニジア中央銀行のマルアン・エル・アバシ総裁は今年1月の時点で、この融資についてIMFとの間に迅速に合意がなされない限り、2023年は難しい年になると発言していた。(レ・ゼコー紙)

 そのようななか、世界銀行がチュニジアへの新規融資を一時凍結することを決めたことは、チュニジアをIMFとの交渉で不利な立場に置き、「2023年予算の完成と、債務返済への対応の遅れに関する懸念を助長した」とエコノミストは見ている(ジュンヌ・アフリック、3/7)。

 サイード大統領は3月8日、ギニアのエンバロ大統領との会見で、「チュニジアにいるアフリカ人は我々の兄弟だ」と発言し、サハラ以南国との友好関係を強調してみせたが、一体どれほどの効果が期待できるであろうか。

Text by 冠ゆき