政治、経済、モラル チュニジアを襲う3つの危機

チュニジアのカイス・サイード大統領(右)|Slim Abid / Tunisian Presidency via AP

◆90%近い棄権率
 議会選挙の投票は昨年12月と今年1月に実施されたが、二度とも棄権率は90%近くに上った。2019年の大統領選で37%の投票率を記録した18~25歳だが、12月の選挙の投票率では5.8%に過ぎず、サイード大統領の独裁傾向は支持されていないことがわかる。棄権者の多さに、野党はこの選挙を「違法」と呼ぶ(ル・モンド紙、3/9)。

 サイード大統領の独裁傾向に危機感を持った野党は昨年、野党連合「国民救済戦線(FSN)」を立ち上げている(フランス・アンフォ、2/24)。

◆「魔女狩り」による反対派排除
 選挙後の2月の頭からは反対派の政治家や影響力のある実業家、治安判事、メディア関係者ら、合計約20人が逮捕された。そのなかには、FSNの主要指導者の一人、ジャウアル・ベン・ムバラクや元法務大臣でFSNに属するエンナーダ党党首ヌレディヌ・ビリなども含まれる(ル・モンド紙、2/14)。

 サイード大統領は逮捕された人々を「テロリスト」と呼び、「国家安全保障に対する」陰謀を企てたと非難(ル・モンド紙、2/23)。だが、アムネスティ・インターナショナルは、この一連の逮捕劇を「大統領への批判も含め、反対意見弾圧」の「魔女狩り政策」だとみなしている。

Text by 冠ゆき