半導体輸出規制、米中の間で厳しい立場の日本 大打撃の中国から報復も

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 尖閣諸島の領有権問題に代表されるように、日本は長年中国の海洋進出によって領土保全を脅かされている。台湾有事になれば米軍は沖縄本島から駆けつけることになり、中国軍は沖縄本島を攻撃するため、つまり日本が攻撃されることになる。日本が直面する安全保障問題は防衛面だけではない。今日、経済の安全保障分野を発端とする日中関係の悪化が現実味を帯びている。

◆日本に対中規制を求めるアメリカ
 バイデン米大統領は1月17日、ホワイトハウスで岸田首相と日米首脳会談を行い、日本に対して対中半導体輸出規制に加わるよう強く求めた。近年、先端半導体をめぐって米中の対立が激化している。日本は先端半導体に必要な半導体製造装置で世界をリードしている。アメリカはそれが中国に輸出され、軍民融合を押し進める習政権が先端半導体の自国生産を強化することを警戒しており、日本に輸出をストップするよう迫っている。

 危機感を強めるバイデン政権は昨年10月、半導体の先端技術や製造装置などで中国との取引を禁止した。これによってファーウェイなど中国大手通信機器メーカーの製品を輸入したり、それらを国内で販売することもできなくなった。昨年8月にも、バイデン大統領は半導体の生産や研究開発に約530億ドルもの投資を行う法案に署名し、先端半導体のメイド・イン・アメリカを加速させている。

 このように先端半導体は、最新鋭の戦闘機や自立型ドローンなどのいわゆるハイテク兵器の製造において、その頭脳を担っており、米中双方にとって先端半導体は絶対に譲れない宝となっている。

Text by 本田英寿