米主力戦車「エイブラムス」はウクライナで威力を発揮できるのか? 懸念される「兵站の悪夢」

「M1エイブラムス」戦車(コロラドスプリングス、2016年11月)|Christian Murdock / The Gazette via AP

 アメリカのバイデン大統領は1月25日にホワイトハウスで会見を開き、ウクライナに対して「M1エイブラムス」主力戦車31両を供与すると発表した。ロシアからの領土奪還を狙うウクライナに大きく寄与する可能性があるが、運用上の課題は大きい。

◆アメリカ軍の戦闘を数十年にわたり支える
 ウォール・ストリート・ジャーナル紙(1月25日。以下「WSJ」)はM1エイブラムスについて、「アメリカの地上兵器のなかで最も強力なもの一つである」と解説。敵の戦車や敵陣などの目標に接近し、搭載の大砲あるいは機関銃で砲撃・射撃を加え、その後は高速で撤収することが可能だ。対ソ連戦での使用を念頭に1980年から導入され、繰り返し改良を重ねてきた。米国防総省はこれまでに、累計7000台以上のエイブラムスを調達している。2003年のイラク侵攻でも、イラク軍制圧に貢献した。

 分厚い装甲に護られたエイブラムスは、120ミリ主砲、敵の装甲を貫通する徹甲弾、高度な照準システムなどを備え、1500馬力のタービンエンジンにより最高時速約42マイル(時速約68キロ)で駆動する。米NBC系列の地方局「NBC CT」(1月26日)は、「数十年にわたりアメリカの戦闘をリードしてきた」とその実績を振り返る。イラク以前には、湾岸戦争でも実戦配備された。搭乗した兵士らは、高い生存率を称賛したという。

Text by 青葉やまと