核搭載可能な爆撃機「B21レイダー」、米が公開 対中抑止狙う
◆開発コストは増大傾向も、中国の脅威に対応するうえで必須か
開発と100機規模での生産には、相応の予算が投じられている。ワシントン・ポスト紙は、米軍がF35戦闘機などをめぐっても長年、コストの増加と開発の遅れの問題に直面してきたと指摘している。2010年には1機あたり5億5000万ドルを見込んでいたコストは、2019年の段階で6億3900万ドルにまで膨れ上がった。
一方、新型長距離爆撃機の投入は、アメリカの国防にとって必須であるとの意見も聞かれる。米ディフェンス・ニュースは、冷戦終結期にアメリカ空軍が400機を超える爆撃機を保有していたのに対し、現状の保有数は144機にまで低下していると指摘する。うち、常時投入可能なのは59機のみだ。中国などの脅威を念頭に置けば、新型機の開発・製造コストを避ける場合、敗北という高い代償が待っていると記事は指摘する。
◆地上試験を経て、来年飛行テストに移行
現在のところB21レイダーは、地上試験のフェーズにある。ワシントン・ポスト紙は、米空軍とノースロップ・グラマン社が共同で耐久試験を実施していると報じている。レーダー反射を低減するステルス塗装の性能に加え、タキシングなどの基本動作を確認している段階だという。プロトタイプとして6機が存在しており、来年に入ってから最初の飛行試験が実施される計画だ。
ポピュラー・メカニクスは、ロシア情勢ならびにアジア地域に対応した長距離爆撃機の必要性から、生産数はさらに増える可能性があると論じている。世界情勢を鑑みるに、B21レイダーの必要性は想定よりもさらに高まるかもしれない。
【関連記事】
ロシア軍はなぜ制空権を得られないのか? 航空戦力でウクライナを圧倒も
ロシアの新型ステルス戦闘機「チェックメイト」、Su-57と同じ問題に直面?
軍用機史上に輝く高速機20選 マッハ15目指す最新実験機から50年代の名機スーパーセイバーまで
- 1
- 2