「新冷戦に巻き込むな」危機感強めるグローバルサウス 分断進む国際社会

国連総会の緊急特別会合(12日)|Bebeto Matthews / AP Photo

◆大国間対立を警戒するグローバルサウス
 米中対立にウクライナ侵攻も重なるなか、世界的な物価高もあり、東南アジアや南アジア、アフリカや中南米などいわゆるグローバルサウスの国々は、激化する大国間対立に懸念や警戒の声を上げ、それとは一線を画す国々も少なくない。

 秋にG20を主催するジョコ大統領は6月、欧米がロシアの参加を拒むよう圧力やけん制を強めるなか、ロシアを孤立させるべきではないとの認識を示し、プーチン大統領を招待すると発表した。また、インドネシアのルトノ外相は9月、国連総会で「東南アジア諸国連合(ASEAN)が新冷戦の駒になることを拒否する」との見解を示し、第2次世界大戦勃発までの動きと現在の対立プロセスが似通っており、世界が間違った方向に進んでいると懸念を示した。

 さらに、アフリカ連合(AU)議長を務めるセネガルのサル大統領も9月の国連総会でウクライナ情勢などの大国間対立に言及し、アフリカは新たな冷戦の温床になりたくないとの意志を示している。

◆分断がいっそう進む国際社会
 大国間対立が細分化し、グローバルサウスはそれと距離を置こうとしている。そして、最近では米国とサウジアラビアの関係が悪化し、イランがロシアにドローンやミサイルを提供していたことが明らかになり、国家間の対立というものはこれまで以上に「毛細血管」化している。今後、これはさらに進むことだろう。

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Text by 本田英寿