ロシアと蜜月アピールもウクライナ問題では慎重 習近平の難しい舵取り

Sergei Bobylev, Sputnik, Kremlin Pool Photo via AP

◆難しいバランスを余儀なくされる習近平
 現在の国際関係の下、習近平氏は難しい舵取りを余儀なくされている。台湾や香港、新型コロナなどで欧米と中国との対立が激しくなるなか、中国としては戦略的共闘相手としてロシアを重視していることは間違いない。今後も中ロの結束は進むことだろう。

 しかし、ロシアのウクライナ侵攻を支持する立場を表明すれば、欧米から非難の声がヒートアップするだけでなく、東南アジアや南アジア、中東、アフリカ、中南米など多くの国々からも対中不信論が高まる可能性が高い。一帯一路を進める習氏としても、これまで積み上げてきた各国でのプレゼンスを弱体化させることは控えたい。今日、中国が最も警戒しているのは米国ではなく、世界からの孤立、各国の中国離反である。よって、習氏としてもロシア、欧米、そして東南アジアや南アジア、中東やアフリカ、中南米など第3諸国との間でバランスを取らざるを得ない状況にあるのだ。

 中ロは表向きには蜜月関係にあり、今後も結束が進むだろう。しかし、両者の思惑は異なる部分も多くあり、習氏を悩ます国際関係はこの先も続くだろう。

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Text by 本田英寿