ロシアと蜜月アピールもウクライナ問題では慎重 習近平の難しい舵取り

Sergei Bobylev, Sputnik, Kremlin Pool Photo via AP

 大国間対立が深まるなか、ロシアのプーチン大統領と中国の習近平国家主席は15日、中央アジアのウズベキスタンで開催された上海協力機構の首脳会合に参加するのに合わせ、約半年ぶりに対面で会談した。両者が会うのは北京五輪開催に合わせプーチン大統領が北京を訪問して以来で、ウクライナ侵攻以降初めてとなった。

 プーチン大統領は、「この半年間で世界情勢は劇的に変化したが変わらないものが一つある。それは中ロの友情関係だ」とし、習近平氏も「激変する世界で中国はロシアとともに大国の模範を示し、主導的役割を果たす」と両国の蜜月ぶりをアピールした。

◆ウクライナ問題で違いが明らかに
 だが、議論がウクライナ問題に及ぶと両者の違いが浮き彫りとなった。プーチン大統領は事前に中国の立ち位置や思惑を配慮してか、「中国の中立的立場を高く評価する」と発言し、習近平氏はこれについて一切言及しなかった。ウクライナ侵攻以降、欧米や日本が対ロ制裁を強化するなか、中国はロシア非難を避け、むしろ両国の安全保障、経済両面での結びつきは深まっていた。

 9月1日から7日にかけ、ロシア軍は日本海やオホーツク海など極東海域で大規模な軍事演習「ボストーク2022」を実施したが、中国軍もそれに参加した。日本海ではロシア海軍のフリゲート艦3隻と中国海軍のミサイル駆逐艦など3隻が航行し、周辺海域で機関銃の射撃演習を行う姿が確認された。

 経済面でも、中国の今年5月のロシア産原油輸入量が前年同月比で55%、天然ガスが54%それぞれ増加。8月の貿易統計では世界各国からの輸入の伸び率が前年同月比で0.3%に留まった一方、ロシアからの輸入が60%増加するなど、両国の接近は顕著に見えた。中ロの思惑で違いが明確になるのはウクライナ侵攻後では初めてとなった。

Text by 本田英寿