国外脱出、抗議デモ、徴兵事務所への攻撃……動員令で混乱するロシア
ロシアのプーチン大統領が21日に部分的動員令で予備役30万人を招集すると発表してから、ロシアでは混乱が続いている。
◆動員に反発する声
発表当日の21日にはロシアの複数の都市で動員に抗議する動きがあり1400人近くが逮捕され、24日にも32の都市で抗議する市民が集まり710人が逮捕された(TF1、9/24)。ロシア政府はウクライナ侵略に反対するデモを厳しく取り締まっており2月の侵攻以来すでに数千人が逮捕されていたが、21日以降、逮捕者は急速に増え、わずか5日で2300人以上と推定されている(20minutes紙、9/26)。
一方、23日にはモスクワとサンクトペテルブルグでウクライナ侵攻、占領地併合を支持するデモが行われたが、こちらの参加者は何の咎めも受けていない。(TF1)
◆空路による脱出 法外な値段
21日以来、国外脱出を試みるロシア人は増える一方だ。フランス・アンフォ(9/24)によれば、主な行き先は、空路ではトルコ、アルメニア、ウズベキスタン、キルギス、ドバイ、陸路ではジョージア、カザフスタン、モンゴル、フィンランドだ。ほとんどが現在ロシア人がビザなしで入国可能な国である。
空路のうち最も大きな窓口になっているのはトルコだろう。ウクライナ侵攻が始まってからすでに40万人のロシア人がトルコに脱出している(フランス・アンフォ)。プーチン大統領の予備役動員発表後、ロシア人がビザなしで入国できる国への便は飛ぶように売れており、セルビアの航空会社エア・セルビアのサイトでは23日の時点で、ロシア発ベルグラード行き、あるいはアンタルヤ行きの便はほぼ完売となった。そのため、値段も高騰している。仏ニュースサイト『ニュメラマ』(9/21)は、21日の時点でほぼ最後の一席だったモスクワ―イスタンブール便が2700ユーロ(約38万円)という破格な値段だったことを報じている。しかし、その後も航空券の値段は上がり続け、3日後の24日のル・モンド紙の報道によれば、モスクワ―イスタンブール便は片道で4000~9000ドル(約58万~130万円)の値がついているという。