共闘する中ロ、対立に巻き込まれたくない第3諸国 分断進む、ウクライナ侵攻半年
◆米中ロの大国間競争から距離を置きたい第3諸国
そして、米中ロの大国間競争によって世界で分断が進むなか、それに困惑しているのが、ASEANや中東、アフリカ、中南米の中小諸国だ。ASEANでもロシアに対して制裁を実施しているのはシンガポールのみで、欧米や日本との関係が良好なインドネシアのジョコ大統領も、ロシアを孤立させるのは良くないとして、今年秋のG20にプーチン大統領を招待した。カンボジアやラオス、ミャンマーは長年中国から莫大な経済支援を受けており、中国がロシアを非難、制裁しないなかではそれに追従するしかない。
また、日本や米国、オーストラリアとともにクアッドを形成するインドは、自由民主主義国家として欧米や日本と価値観を共有し、自由で開かれたインド太平洋の実現を好意的に受け止めているが、ロシアとは武器供与などで伝統的に友好関係を築いている。欧米による経済制裁によってロシア産エネルギーの価格が下落するなか、エネルギー不足に悩むインドはエネルギー分野でもロシアに接近している。米国は以前、インドにロシア接近をやめるよう要請したが、インドは現実的問題としてそれは難しいと一蹴したことがある。ロシアによるウクライナ侵攻によって明らかになったのは、まさしくこのような世界の分断といえよう。
【関連記事】
激化する大国間対立、拡大する第3諸国陣営
逆戻りする途上国支援 「助ける」薄れ、「対立陣営に負けない」へ
ロシアのウクライナ侵攻に沈黙するASEAN諸国、その背景
- 1
- 2