ロシア、核魚雷「ポセイドン」搭載用の原潜「ベルゴロド」就役 海の“新冷戦”懸念
◆世界史上類をみない「メガ魚雷」
ベルゴロドに搭載されるとみられるポセイドンは、原子力で駆動し、海底を自律的に航行する巨大な魚雷だ。潜水艦の専門家であるアメリカのH・I・サットン氏は、海軍情報サイトの米ネイヴァル・ニュース(3月3日)に寄稿し、「大陸間・原子力・核武装・自律航行型魚雷」であると説明している。
CNNは同記事を引用し、「この核の『メガ魚雷』は、世界の歴史上でも特異なものである」との分析を伝えている。サットン氏はポセイドンが「まったく新しいカテゴリーの兵器」であり、ロシアと西側の従来の海軍のプランを変容させるものであるとみる。氏は2019年、ポセイドンのサイズを直径2メートル、長さ20メートル以上と見積もり、通常の重量級魚雷の30倍の大きさだと指摘している。
◆ポセイドン搭載は2027年以降か
CNNは米議会調査局(CRS)の報告書をもとに、ポセイドンはロシアが核攻撃を受けた際の報復兵器として用意されたと報じている。原子力潜水艦のベルゴロドはこのポセイドンを最大6発から8発搭載できる模様だ。CRSはベルゴロドへのポセイドンの配備時期を、2027年以降と予測している。専門家らの評価はさまざまだ。大いに警戒すべきだとの声が多数上がる一方、ロシア軍のウクライナでの苦戦を考慮すれば、設計意図通りに機能しないのではないかとの読みもある。
ロシアはベルゴロドだけでなく、ポセイドンを搭載可能な潜水艦を計4隻建造中だ。インタレスティング・エンジニアリング誌は、アメリカとイギリスが共同して対抗措置に乗り出す事態になりかねず、北極圏、北大西洋、北太平洋を舞台に新たな冷戦に突入する恐れがあると指摘している。
ウクライナ情勢に関連してロシアとNATOとの摩擦が高まるなか、アメリカ本土との緊張も増すばかりだ。
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