サウジ、ロシア産燃料油の輸入量を倍増 国産原油を高値で輸出

バイデン米大統領とムハンマド皇太子(7月15日)|Bandar Aljaloud / Saudi Royal Palace via AP

 欧州が買わなくなったロシアの軽油やほかの石油製品が、中東に向かっているという。とくに世界最大の石油輸出国サウジアラビアが、ロシアからの燃料油の輸入量を大幅に増やしている。エネルギーでロシアに制裁を科そうとするアメリカやEUと距離を置き、ロシアに接近するサウジアラビアの動きにメディアの注目が集まっている。

◆中東の輸入急増 制裁の難しさを示唆
 ブルームバーグによれば、ウクライナでの戦争が始まった2月以降、ロシアから中東へ向かう燃料は毎月増加している。6月には1日15万5000バレルと2016年以来最高を記録。対照的に欧州の輸入量は同時期で30%減少した。中東のロシアからの輸入は目新しいものではなく、ほとんどは重油で、発電や船舶によく利用されるという。

 なかでも気になるのは世界最大の石油輸出国サウジアラビアの動きだ。ロイターによれば、今年の第2四半期にロシア産燃料油の輸入量を2倍以上に増やした。多くの国がロシア産の購入を禁止または抑制している一方で、中国、インドなどは輸入を増やしている。サウジアラビアの輸入増は、ロシアを孤立させエネルギー輸出からの収入を断つというバイデン政権の狙いがいかに難しいものであるかを改めて示している。

Text by 山川 真智子