日本にとって難しくなる日中関係
◆対話を積み重ねることでリスクを低減する
日本の秋葉国家安全保障局長は6月7日、中国の外交を司る楊潔チ政治局委員と電話会談を行った。楊潔チ政治局委員は日中間の相互信頼や協力を強化すべきという意見を示した一方、健全な関係を構築するのであれば新旧の課題に向き合う必要があると強調した。新旧について具体的な言及はなかったとみられるが、日中間にある歴史問題、そして米中対立や台湾、日米豪印によるクアッドなど今日中国が懸念を抱く諸問題を指していると思われる。
緊張関係にある国家間では何よりも対話が重要となり、それによって安全保障などさまざまなリスクを低減することができる。今日の日中関係においても持続的な対話が何よりも重要な時代に入っている。しかし、対話によってリスクを低減できたとしても、今日の岸田政権の外交・安全保障戦略、姿勢や行動を総合的に評価すれば、関係悪化は対話によるリスク低減よりも早いスピードで進んでいるように筆者は感じる。
岸田政権が進める外交・安全保障政策を筆者は支持する。しかし、日米同盟やクアッドを重視し、昨今ではNATOに接近する日本の姿勢を中国はどう捉えるだろうか。それらすべては中国にとっては敵対的な動きであり、日中関係は両者が会わない場所や時間によって自然に悪化の一途を辿っている。日本にとって日中関係はますます舵取りが難しいイシューになってきている。
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