ロシア、「ターミネーター」戦闘車両をドンバスに投入 その意味とは?
◆9台を投入か いまになって展開の理由は
ロシア軍関係者はロシア国営通信社に対し、「複数台のBMPTが戦車小隊とともに、ウクライナの拠点、装甲車、対戦車ミサイルの要員に対する火災による破壊に関わっている」と証言した。具体的にどの地域で何台を投入しているかについて、英インデペンデント紙は詳細不明としている。
英i紙(5月19日)は、ロシアの第90親衛戦車師団に昨年12月、9台のターミネーターが配備されたと報じている。ウクライナ侵攻開始時点で実戦への投入もできた計算だが、2ヶ月半以上の空白期間を経ての導入となった。イギリス国防参謀本部・戦略諮問委員会の元メンバーであるポール・コーニッシュ氏は、運用上の課題から投入を控えていたのではないかとみる。外部に搭載の対戦車ミサイルなどが弾薬の頻繁な補充を必要とするほか、戦闘車の複雑な構造からして高度な訓練を受けた要員が必要だとみられる。要求される練度は「ロシア軍にいる大多数の能力を超えているかもしれない」とコーニッシュ氏は指摘する。
◆投入は「絶望の表れ」
英士官学校の上級講師はi紙に対し、「ロシアが多くの装備を失ったため、いまになって使用が観測されるようになったのだと思う」との見解を明かした。しかし、投入の遅れで活用は一段と難しくなった。本来は市街戦で歩兵の攻撃力の補助を得意とするターミネーターだが、開かれた地形が続くドンバス地方での戦闘には向かない。元イギリス軍関係者は、「(ロシアが)成功のためには持てるものは何でも投入し始めたとしても驚かない」と語る。i紙はロシアの「絶望の表れ」だと報じた。
テレグラフ紙も、「ロシアは主力軍の困難な状況を和らげるため、方法を必死に探しているように思われる」と述べている。不死身のアンドロイドの名を冠する戦闘車両だが、ドンバスの戦況にどれほど影響を与えるかは未知数だ。
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