日ロ関係を多層的に見る 関係悪化のいまこそ求められる考え方

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 ロシアによるウクライナ侵攻が始まってから2ヶ月が経過するなか、欧米主導による対ロ経済制裁が強化され、ロシアが強硬姿勢を維持し、中国はそれを傍観するという状況に変化はない。むしろ、制裁が強化・拡大されてもロシアによる軍事行動は続き、戦況だけが厳しさを増している。このようななか、我々は今後の日ロ関係をどう考えるべきだろうか。

◆悪化する日ロ関係
 日本も基本的に欧米と同じくロシアへの経済制裁をこの2ヶ月強化してきた。最近では在日ロシア大使館の外交官たちが日本から国外追放になった直後、今度は在ロシア日本大使館の外交官たちが国外追放になるなど、両国の間でも報復措置の応酬がみられる。ロシアに進出する日本企業の間でも、撤退や規模縮小を本格化させる動きも出ており、経済への影響も日に日に増している。

 現在の冷え込んだ日ロ関係が長期化すれば、報復措置の範囲がいっそう拡大する可能性がある。

◆日本独自の対ロシアを考える
 ロシアによるウクライナ侵攻は国際法的にも決して許されるものではなく、これについて核使用の可能性もちらつかせるロシアに対し、日本は毅然とした厳しい姿勢を堅持するべきだと筆者は考える。しかし、政治や経済だけでなく社会や文化面なども含め総合的に日ロ関係を考えれば、何もかも欧米と足並みを揃えるべきではないだろう。

Text by 和田大樹