韓国がクアッド参加なら… 政権交代、アジアの安全保障への影響は

米軍基地キャンプ・ハンフリーズを訪問したユン・ソギョル次期大統領(3月7日)|UNC - CFC - USFK / flickr

◆韓国に警戒を強める中国
 一方、北朝鮮以上に懸念を強めるのは中国かもしれない。すでに中国は安全保障に関わる動きを見せている。たとえば、中国の軍用機が3月23日、済州島付近上空の防空識別圏に進入したとされるが、3月9日に尹氏が勝利したことを考えると、韓国をけん制する狙いがあった可能性はある。韓国は安全保障面で米国の同盟国だが、経済面では中国の存在力が大きいことから同国との関係を重視してきた。今後、尹政権が中国とどう接していくかは不明な点もあるが、中国が経済や安全保障面において尹政権に警戒感を抱いていることは間違いない。

◆中露北の接近
 当然ながら、中国、ロシア、北朝鮮のそれぞれの関係も一筋縄ではない。しかし、韓国のクアッド参加などインド太平洋において自由民主主義陣営のブロック形成が顕著になれば、それが自然に中国、ロシア、北朝鮮の接近を加速させる可能性は否定できない。日本としても中国、北朝鮮に加えロシアという3正面脅威に直面することになるので、そういった権威主義国家連合の動きが表面化しても不思議ではないだろう。

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Text by 和田大樹