米欧vs中国のなか韓国の立場は? 大統領選で変化の可能性も

文在寅韓国大統領(左)とモリソン豪首相(12月13日、キャンベラ)|Lukas Coch / Pool Photo via AP

 今年発足したバイデン政権はトランプ政権から続く米中対立を継承したが、英国やオーストラリアなどアングロサクソン英語圏だけでなくリトアニアなどほかの欧州諸国の中国への不満や怒りも表面化し、欧米と中国の対立と化した。また台湾をめぐっても欧米と中国の火花は散り、国際政治は大きく変化している。そのようななか、韓国は難しい外交舵取りを余儀なくされている感が否めない。今年、韓国外交にとってはどのような1年だったのだろうか。

◆インド太平洋のなかで孤立?
 今年、インド太平洋では日本米国オーストラリアインドの4ヶ国によるクアッドをめぐる動きが加速し、米国イギリスオーストラリアは新たな安全保障枠組オーカスを創設するなど、中国を念頭に置いた多国間協力がいっそう進んだ。

 一方、米国の同盟国である韓国はインド太平洋に積極的に関与する姿勢はいまだに示していない。インド太平洋などより広い範囲で役割が期待される日米同盟と違い、韓米同盟は北朝鮮に特化した局地同盟としてのイメージが拭えないが、GDP世界第10位(平均年収は日本を超える)でかつ国防予算で日本とほぼ同等にまで成長した韓国に対して、インド太平洋の平和と安全への関与を求める声も少なくない。バイデン政権は同盟国の役割拡大を強く期待しているが、韓国が現在の立場をこのまま維持し続ければ、米韓の間での亀裂が再び深まる恐れがある。

Text by 和田大樹