米、謎のドローン「フェニックス・ゴースト」をウクライナに提供へ ゲームチェンジャーになるか
◆スイッチブレードを上回る滞空時間
フェニックス・ゴーストは、エアロバイロンメント社の無人攻撃機「スイッチブレード」と同等の能力をもつとされる。スイッチブレードは重量およそ2.5キロの小型機自爆機だ。ただしポリティコ誌によると、滞空時間40分のスイッチブレードに対し、ゴーストは最大6時間の飛行時間を有する。垂直離陸と赤外線センサーによる夜間の追尾にも対応するなど、性能は格上となる。
ウクライナ軍は米軍が提供したこのスイッチブレードのほか、トルコ製大型ドローン「バイラクタルTB2」を運用している。だが、今後はバイラクタルに代わり、ロシアの防空網をかいくぐることのできる「フェニックス・ゴースト」のような小型ドローンが存在感を増しそうだ。英タイムズ紙(4月21日)は、バイラクタルが「今回の戦争の初期フェーズにおいて多大な効果を示した」と評価したうえで、ドンバスの開けた地形ではロシアの防空網が行き届くことから、大型のバイラクタルが「同様の効果を示すとは考えにくい」と指摘している。
◆ドローンが戦局を左右か
ドローンに関してはロシア軍も、「オルラン10」と呼ばれる翼幅(翼の端から端までの長さ)3.1メートルの無人偵察機を導入している。ウクライナも、翼幅1.1メートルの観測用ドローン「クアンティックス・マッパー」を使用するなど、空からの偵察競争が過熱している。タイムズ紙によると軍事専門家たちは、偵察機により攻撃の正確な誘導も可能となることから、「どちらがどれだけの無人航空機を保有しているか次第でこの戦争の次なる段階が決する可能性がある」と指摘している。
偵察機のみならず、フェニックス・ゴーストのような無人自爆機も重要な存在だ。米フォーリン・ポリシー誌(4月13日)は、「航続距離が長く低コスト」な自爆型ドローンが、ウクライナ領内のあらゆる場所から出撃可能なことから、「ゲームチェンジャー(状況を決定的に変える存在)になるだろう」と論じる。
主戦場がドンバス地方に移るにつれ、フェニックス・ゴーストのようなドローンの活用がウクライナ防衛の柱のひとつになりそうだ。
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