戦争犯罪でプーチン起訴の可能性はあるのか? ロシア軍のウクライナ攻撃
◆プーチン起訴の可能性は
戦争犯罪を裁く場合、国際刑事裁判所(ICC)の管轄となる。ロシアとウクライナは123ヶ国あるICCの加盟国に含まれていないが、ウクライナでの軍事行動に関して起訴することは可能だとみられる。ICCは国ではなく個人を裁く機関であり、また、ICCの管轄内で発生した犯罪は、当事者個人の国籍を問わず裁かれるためだ。ウクライナはICCに管轄権を認めていることから、理論上はウクライナ領内で行われた戦争犯罪に関し、プーチン氏とロシア軍高官を起訴することは可能だ。ただしICCは「欠席裁判」を認めていないため、プーチン氏を裁くには、ロシア側が氏をICCに引き渡すか、ロシア国外で逮捕されるかのいずれかが必須だ。
さらに、個人ではなく国家を対象とした組織として、国際司法裁判所(ICJ)が存在する。ICJがロシアを有罪と認めた場合、国連安全保障理事会が必要な措置を実施する。ただしロシアは常任理事国として拒否権を行使することが可能であり、結果としてICJの裁定には実効力が伴わない可能性がある。
◆起訴への動き強まる
プーチン氏を起訴すべきとの国際世論は日増しに高まっている。ベス・ヴァン・シャーク米国大使によると、ウクライナでは「数百人規模の民間人の死亡」がこれまでに報告されており、「実際の民間人の死者数は数千人規模に達するとみられる」という(米VOX誌、3月27日)。
ブリンケン米国務長官は23日の会見の場で、「刑事訴追を含めたあらゆる手段を講じ、我々は責任の追求に全力を傾けている」と述べた。VOX誌はこの声明を受け、「ウクライナでの残虐行為の報告は増加しつつあり、(声明は)その報いとなるプロセスの始まりにすぎない可能性が高い」と述べている。
CNNは、ロシアによる「ウクライナにおける2013年から現在までのあらゆる行動」をICCが今後精査すると報じている。依然として壁は高いが、ロシア側が裁かれる展開が現実味を帯びてきた。
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