韓国人71%、独自の核兵器開発を支持 米シンクタンク調査

北朝鮮ミサイル発射のテレビニュースを見る韓国ソウルの人々(1月25日)|Ahn Young-joon / AP Photo

◆北朝鮮問題でタカ派となる韓国
 核開発への高い関心は、国境を接する北朝鮮および地域の安全保障上のプレゼンスを高めている中国への対抗心を反映したものだ。韓国国民の82%は、北朝鮮が核を放棄する可能性はほぼないと考えている。米韓は北に核放棄を働きかけてきたが、2018年から2019年にかけて行われた首脳会談をもってしても失敗に終わった。米政治外交誌『ディプロマット』(2月22日)は今回の世論調査について、「調査結果は、時とともに韓国が対北朝鮮問題でタカ派になってゆく可能性を示唆するものだ」とみる。

 また、アメリカの核配備よりも自国での開発を望む声が圧倒的に多数を占める。この背景について米ワシントン・ポスト紙(2月21日)は、過去にアメリカ側の方針転換により在韓米軍への核配備を取り止められた苦い経験が影響しているとみる。アメリカは冷戦期間中に韓国に核を配備していたが、1991年になるとブッシュ大統領が韓国を含む米国外の核兵器をすべて撤去したとされる。その後も核の再配備を求める議論は韓国内で繰り返し起きており、2016年には当時の朴槿恵韓国大統領が戦術核兵器の配備をアメリカ側に要請するも拒否されている。

◆中国への対抗心も
 北朝鮮と並び、高まる核武装への関心には中国に対する防衛心理も働いている。世論調査では現在は北朝鮮を主な脅威と認識する人々が多かったものの、10年後以内に中国が最も大きな脅威となると回答した人の割合は56%と半数以上に及んだ。北朝鮮関連のニュースサイト『NKニュース』(2月22日)は「北朝鮮ではなく中国が韓国での核支持の主因に」と報じている。

 高まる中国への危機意識を、ワシントン・ポスト紙も報じている。同紙は、韓国人が核を求めるのは「しばしば北朝鮮の脅威に対抗するためとみなされがち」だと述べたうえで、今回の世論調査の結果は「韓国がますます中国を長期的な脅威だと認識している」ことを示すものだと分析している。なお、日本については「核を保有する2つの隣国よりは軍としてさほど脅威でない」との意識が調査から読み取れると同紙は述べている。

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Text by 青葉やまと