米欧vs中国のなか韓国の立場は? 大統領選で変化の可能性も
◆切れない中国との経済関係
韓国が積極的関与を示さない背景には中国の存在がある。言うまでもなく、韓国にとって最大の貿易相手国は中国であり、韓国はクアッドなどへの接近によって中国との経済関係が悪化することを強く懸念している。昨今、米国や英国などは2月の北京五輪で外交的ボイコットに踏み切ることを表明したが、韓国はすでに外交ボイコットはしないという姿勢を示している。
この韓国の立場は、同じく中国が最大の貿易相手国である日本と似ている。しかし日本はクアッドに参加し、自由で開かれたインド太平洋を主導する立場にあり、政治的に韓国より米国に近い立場にある。中国もそれは認識しており、米中対立の狭間で韓国は日本より難しい立場にあるといえる。
◆来年3月の大統領選挙
来年3月に韓国では大統領選が実施される。現在、与党「共に民主党」の李在明(イ・ジェミョン)候補と最大野党「国民の力」の尹錫悦(ユン・ソンヨル)候補が数ポイント差で競り合い、激戦になっている。
尹錫悦氏は11月、北朝鮮の脅威に対抗するため日米韓3ヶ国の安全保障協力を強めるべきとの認識を示しており、同氏の方が国際的関与を重視する可能性が高い。李在明氏は日韓の安保協力には慎重姿勢を示しており、外交安全保障をめぐる両氏の価値観は大きく異なる。どちらが大統領になるかによって、インド太平洋における韓国の立場も大きく変わってくる可能性がある。来年3月の選挙は将来の韓国を見据える上で大きなポイントになるだろう。
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