スイス、385人をアフガンから救出完了 大量難民は拒否

カリン・ケラー・ズッター司法・警察相|Virginia Mayo / AP Photo

◆私的滞在のスイス人には飛行機代請求
 救出されたスイス人のなかには、公的な任務以外でアフガニスタンに滞在していた人もいるようだ。救出前、フリーペーパーの20ミヌーテンが外務省に問い合わせたところ、非政府系の国際機関の職員として働くといった理由で渡航したスイス人が30人いると述べた。同紙は、それらのスイス人たちは、今回の航空券代を請求されるはずだと指摘している。外務省は過去23年にわたりアフガニスタンへの渡航は控えるよう勧告してきたが、彼らは勧告を受け入れなかったからだ。いくら請求するかについて、外務省は「まだ決定していない」と同紙に答えている。

 外務省は、新型コロナウイルス感染が拡大した2020年春、世界に滞在していた7千人以上のスイス人をスイスへ呼び戻した。そのときの航空券代は、近距離で最低約4万8千円、遠距離で最高約20万円だったとのことで、アフガニスタンの航空券代はこの中間になるとみられる。だたし、今回の救出は手間がかかったため、追加料金が課される可能性があるようだ。(同上)

◆スイス、大規模な難民集団は拒否
 各国がアフガニスタンにいる自国民の救出に懸命ななか、国によっては、タリバン復権によるアフガニスタン難民を受け入れることも緊急の課題だ。

 英BBCによると、アフガニスタンの周辺の国々に多数のアフガニスタン人が逃れている。ヨーロッパでは、イギリスが2万人のアフガニスタン難民を受け入れると発表し、ドイツも一定数受け入れる方針だ。

 スイスは、先述のように今回の救出によって218人を受け入れた。カリン・ケラー・ズッター司法・警察相は、大規模な難民の受け入れは当面は無理だと話している。理由は二つあり、一つは、長期にわたってスイスで保護することが必要なのか、また何人を受け入れるべきかを決めるには、あまりにも情報が不確実であるため。もう一つが、スイスに入国するアフガニスタン難民が、スイスに危険をもたらさない人物かどうかをコントロールできるようにしないといけないためだ。(スイス放送協会

 国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の統計には、「2020年にアフガニスタンからの難民を多く受け入れた国」として、1万5400人を受け入れたスイスも上がっている。スイスよりも多くを受け入れたヨーロッパの国は、ドイツ(18万人以上)、オーストリア、フランス、ギリシャ(3国とも4万人以上)、スウェーデン(3万人以上)だった。難民問題は、ヨーロッパが協力しても簡単に解決できそうにない。

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Text by 岩澤 里美