パキスタンがタリバンを支持する事情 膨らむ国内の脅威

国境を守るパキスタン民兵(右)とタリバン兵士(左)(8月21日)|Muhammad Sajjad / AP Photo

 アフガニスタンで実権を掌握したイスラム主義組織タリバンは、新政権樹立に向け動いている。タリバン政権復活を最も歓迎すると見られるのは隣国パキスタンだ。パキスタンは米軍と協力関係にありながら、裏ではタリバンとつながっていると批判されているが、この地域ならではの事情が関係している。

◆長期にわたる援助 背景に大国の脅威
 1980年代に、アメリカ中央情報局(CIA)とパキスタンの軍統合情報局(ISI)は、ソ連と戦っていたアフガニスタン人に武器を提供し、ジハードに参加する若者の養成や過激化を援助した。タリバンの初期の指導者たちは、1980年代にパキスタンのイスラム神学校(マドラサ)で学び、その後アフガニスタンに戻ってタリバンを設立している。

 ソ連軍撤退後の内戦を経て1992年に成立した政府はインド寄りで、パキスタンは大いに不満だった。インドとパキスタンは歴史的に敵対関係にあり、裏庭でもあるアフガニスタンでのインドの影響力拡大は脅威となるからだ。そのため、1990年代半ばにタリバンが勢いを得ると、パキスタンはすぐにその動きを支えるようになった。

Text by 山川 真智子