孤立は回避 韓国にとっての米韓首脳会談の意義
◆中国を必要以上に刺激したくない韓国
一方、今回の共同声明では、香港情勢や人権抑圧が懸念されるウイグル情勢については言及がなく、韓国には最大の貿易相手国である中国を必要以上に刺激したくないという思惑もある。韓国の全国経済人連合会が昨年9月に発表した統計によると、韓国の輸出全体に占める中国向け比率が25.8%(2020年1月~7月)に上り、前年同期比で1.5ポイント上昇したが、韓国経済にとって中国は切っても切れない存在だ。
バイデン大統領は経済の中国依存から脱却すべく、半導体などで独自のサプライチェーン構築を強化する戦略を進め、3月にはハイテク分野で中国に対抗するため、今後8年間で2兆ドル(約220兆円)を超える投資を実施していく方針を明らかにしている。米国は韓国にもそれに賛同してほしいというのが本音だろうが、実際、韓国がこれでどこまで共同歩調を取れるかはまったくの未知数だ。
今回の米韓首脳会談で、韓国が孤立を避けるべく、台湾やクアッドで米国と足並みを揃えたことで最悪の事態は免れたが、韓国が依然として難しい立場にあることに変わりはない。
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