武器使用を明文化 海警法施行で緊張高まる尖閣情勢

出典:海上保安庁ホームページ

◆その曖昧さが怖い海警法
 海警法で最も懸念されるのは、その曖昧さだ。海警法22条では、中国の主権が侵害された場合、武器使用を含むあらゆる手段で取り締まることができると規定されているが、海の憲法とも言われる国連海洋法条約では、沿岸国がとれる措置は退去命令や立ち入り検査などで、武器使用はそもそも違法となる。海警法が国際法違反といわれる所以でもある。

 また、海警法3条に管轄海域という言葉が出てくるが、中国が管轄する海域について具体的な範囲がまったく書かれていない。要は、中国の解釈やそのときの政治的判断によって管轄海域の範囲が変わる恐れもあり、その曖昧さは日本や米国、台湾、ベトナムなどにとって脅威となる。

◆偶発的な衝突のリスクは高まっている
 中国当局は今月に入って、中国船舶が固有の領土である尖閣諸島周辺で航行することは正当かつ合法であり、それを常態化させていく意思を鮮明にし、日本が尖閣諸島への上陸を強行すれば、海警法が定める重大犯罪に当てはまり危害射撃の可能性もあるとけん制した。

 日を追うごとに偶発的な衝突のリスクは高まっている。2010年9月の尖閣での中国漁船衝突事件などのような事態が再び起これば、中国国内での反日デモや日本へのレアアース輸出規制などの経済的なダメージだけでなく、中国は海警法に基づいてより強硬で危険な対応をとってくる恐れがある。偶発的な衝突を何としても避けなければいけない。

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Text by 和田大樹