尖閣諸島奪取後の中国の行動とは?

南シナ海で軍事演習を行うフリゲート艦「運城」(2016年7月8日)|Zha Chunming / Xinhua via AP

 尖閣諸島周辺の領海外側にある接続水域で8月22日、海上保安庁は中国海警局の船3隻が航行しているのを確認した。尖閣周辺で中国船が確認されるのは11日連続とされる。中国は日本漁船の尖閣への接近停止を要求したり、中国公船が日本の領海内に侵入して日本漁船を長時間にわたって追尾したりするなど、これまでになく自らの領有権を強く主張するようになっている。では、実際、中国は尖閣諸島を占拠して、なにをしようとしているのだろうか。

◆尖閣諸島の南シナ海化を狙う中国
 中国は尖閣諸島を固有の領土と主張し、台湾や香港と同じように自らの核心的利益に位置づけるが、台湾や香港と比べても歴史的、文化的な繋がりは明らかに薄い。中国が固有の領土と主張し始めたのは、1969年に国連が東シナ海で石油埋蔵の可能性があることを発表して以降であり、固有の領土と主張するに足りる国際法的根拠が薄いのは明らかだ。よって、中国が尖閣諸島の領有権を主張する本当の目的は違うところにある。

 中国からみると、尖閣諸島は八重山列島や宮古列島だけでなく、沖縄本島や台湾にも近い距離にある。尖閣諸島を占有することによって、中国は沖縄本島に駐留する米軍や自衛隊、そして台湾を軍事的にけん制することが可能になる。

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Text by 和田大樹