米韓関係、さらなる冷え込みも 同盟国を注視するバイデン政権

バイデン大統領と電話会談する文在寅大統領(2月4日)|South Korea Presidential Blue House via AP

◆韓国をクアッドから遠ざけたい中国
 一方、中国は韓国をクアッドから遠ざけ、バイデン政権による対中包囲網を崩したい思惑がある。中国の習近平国家主席は1月下旬、韓国の文在寅大統領と電話会談し、北朝鮮は米国や韓国と対話によって問題を解決する意志を持っているとし、南北間や米朝間の対話を支持すると明らかにした。また、去年の8月下旬、中国の楊潔篪共産党政治局員が釜山で韓国の徐薫国家安保室長と会談し、新型コロナウイルスの問題が落ち着き次第、習近平国家主席の訪韓を調整することで一致した。

 去年の1月~7月間の韓国の輸出全体に占める対中比率が25.8%となり、前年同期比で1.5ポイント上昇したように、韓国経済の中国依存度は非常に高い。文在寅大統領もそれを熟知しており、中国との関係が悪化して国内経済にダメージが出るのは避けたいのが本音だろう。去年、香港国家安全維持法が国連人権理事会で審議された際、米国の同盟国である日本やオーストラリア、ニュージーランドが不支持に回るなか、韓国はその是非の判断を棄権している。

◆トランプ時代より米韓関係悪化の可能性も
 トランプ前大統領は、中国に追加関税などを連発し、米中対立はこれまでになく深まったが、中国に対して厳しく対応するよう同盟国に強く求めることはなかった。だが、バイデン政権は同盟国の行動や役割を重視する。バイデン政権に近年の韓国の立ち位置が良く映ることはないだろう。場合によっては、トランプ時代より米韓関係が悪化する可能性もあると言えよう。

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Text by 和田大樹