バイデン政権で「対中包囲網」はどこまで形成されるのか

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◆対中包囲網はどこまで形成されるのか
 去年以降、米国に加えオーストラリア、インドや英国などが中国への態度を硬化させ、対中包囲網的な図式が形成されつつある。しかし、ポイントとなるのは「実際どこまでそれが固く、持続的に形成されるか」だろう。

 バイデン政権は日本など同盟国との関係を重視し、多国間の枠組みで中国に対応していこうとするだろうが、6日の米連邦議会襲撃のように米国内の分断が深刻化するなか、果たしてどこまで対中で役割を果たせるかわからない。

 また、新型コロナウイルスの猛威で先進国の経済が疲弊するなかでも、中国は強権的な措置でコロナ感染を封じ込め、去年の経済はプラス成長となった。2030年にも経済力で中国が米国と並ぶと言われるなか、新型コロナウイルスの猛威が米中間の差を拮抗させているのは間違いない。そういう大国間関係が想定されるのであれば、オーストラリアやインド、英国や日本が実際どこまで対中包囲網的な姿勢を維持できるだろうか。「対中包囲網的な枠組みに入る」と、「対中包囲網的な枠組みを維持する」はまったくの別問題であろう。対中包囲網的な枠組みの中長期的将来は決して安泰なものではない。中国もそれを崩すべくあらゆる対策を練ってくるだろう。最近の中国による日本への接近の背景にもそれがある。

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Text by 和田大樹