ブレグジット完了から半月 その影響は?
◆交通違反者追跡が難しく
EUでは2015年以来「道路安全違反に関する情報の国境を越えた交換」を可能とする取り決めがあるが、ブレグジットによりイギリスと大陸間では無効となった。そのため、たとえばフランスで速度違反を犯し、英国に戻った運転手に罰金督促状を送ることができなくなった。逆も同様だ(ル・モンド紙、1/12)。とはいえ、同紙によれば、フランスはほかの欧州非加盟国と交わしている合意と同様、イギリスとも取り決めを交渉する考えだ。
ちなみに、フランス国内で交通違反を犯す外国車ナンバーワンはイギリス車だ。たとえば2019年にフランス国内の速度違反自動取締装置に引っかかった車のうちイギリスナンバーは44万4378台と、取り締まりを受けた外国ナンバーの18.5%だった(同)。
◆企業移転先として注目されるオランダ
ブレグジットにより、多くの企業は、本社の移動先にオランダを選んでいる。フランス・アンフォ(1/13)によれば、2019年には140の企業がオランダに腰を落ち着けた。同国は「EUのなかでも企業への課税率が最も低い国のひとつ」であるという魅力に加え、英語の普及率の高さで知られており、そのあたりが人気の理由であろう。
オランダほどではないが、2016年のイギリスの国民投票以来、フランス、パリでもブレグジットに関連した不動産の動きが見られる。レ・ゼコ紙(1/12)によれば、これまでに約100の企業がオフィスとなる土地やビルを押さえており、2021年もいくつかの企業がロンドンからパリに移動すると考えられている。
ブレグジット完了からまだ半月余りだが、実にいろいろなレベルでその影響が形になって見えてきている。大きな社会的変化はこれからかもしれず、落ち着くまではまだ相当時間がかかりそうだ。
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