ポスト安倍時代における日米関係の行方

Manuel Balce Ceneta / AP Photo

◆ポスト安倍時代も変わらない日米関係
 安倍首相が退陣することで、トランプ大統領は日本を重視しなくなるのだろうか。結論を先に言うと、確かに安倍・トランプ関係はきわめて良好だったが、それがポスト安倍時代でも変わることはない。総裁選に出馬すると見られる人々をみても、いまの安倍・トランプ関係から大きく舵を切ろうとする人はいない。つまり、いままでの関係を引き継ぐ形となる。

 また、日米同盟でも両国がやるべきことは明白だ。対立が深まる米中関係、尖閣諸島や台湾周辺海域での中国の海洋覇権、北朝鮮の核・ミサイルなど、インド太平洋地域の平和と安定を考えると、日本と米国は利害が一致している。やるべきことが不透明であると、両国間で意見やビジョンの食い違いが生じてくるかもしれないが、北朝鮮や中国をめぐる情勢は超党派的なものがある。これは秋の大統領選挙でも同じことで、トランプ大統領だけでなくバイデン候補も中国に対しては厳しい姿勢で臨むことを公言している。ポスト安倍でもポストトランプでも、現在の日米関係の方向性は維持されることになる。

 最後に、安全保障上、日本の次期首相には安倍首相と同じように、日米だけでなく、昨今中国へ態度を硬化させるオーストラリアやインド、またインド太平洋地域に領土を持つ英国やフランスなど、同じ自由・民主主義の価値観を共有する国々とも独自の安全保障網を強化していくべく、広い視野で戦略的に行動していくことが求められる。

Text by 和田大樹