中国がハイテク気球でインドを偵察か 印メディアが衛星写真で暴露

アメリカの係留型飛行船|米国防総省

◆パキスタンの動向にも神経を尖らせるインド
 中国のほかに、インドはパキスタンによる飛行船の運用にも神経を尖らせている。パキスタン陸軍はカーン研究所が防空気球を運用したことがあった。戦闘機による地上攻撃からの防御がその目的とされたが、気球の運用高度に限りがあり、低空飛行の戦闘機ぐらいにしか対応できず、2012年にすべて退役した。

 パキスタン空軍は2016年に試験的に気球を運用したことがあるものの、配備には至っていない模様だ。予算不足、あるいはテストに失敗したのではないかと見られるという。

◆インドの懸念を嘲笑する中国
 中国側はこうしたインドの懸念を嘲笑している。『ザ・プリント』の記事を翻訳転載した中国の軍事ニュースサイト『新浪軍事』は、インド軍が中印国境地域でおかしな主張をして騒ぎ立てるのは初めてではなく、2013年には金星を中国の無人機だと誤解したことがあると指摘する。中国の無人機が何度もインドの領空を侵犯したと主張したが、天文学者によればこの未確認飛行物体に見えたものは星だった。金星や木星はその明るさや軌道がほかの場所と違ってみえるため、インドの国境部隊はこれを国境侵犯した無人機と勘違いしたのだ。

 2018年5月にはインドの軍事マニアがインド軍のスホーイ30戦闘機が「J(殲)−20」ステルス戦闘機を近距離で発見したと書き込み、インド空軍司令官が「J−20」のステルス性能は普通のレーダーでも見つけられると指摘したが、この情報は事実ではなく、同機は中国の西部高原にまだ配備されていないことが明らかになったという。

Text by 弓野正宏