中国は日本海に出てくるのか 北極海航路、その先の「内海化」
前回、日韓関係が冷え込むなか、竹島上空における中露の領空侵犯、その直後の北朝鮮によるミサイル発射が何を意味するのかについて述べたが、昨今の情勢からは、もう一つ重要なことを指摘しなければならない。それは、日本海だ。日本近海の海洋紛争ということになると、南シナ海や東シナ海、西太平洋がはじめに頭に浮かぶが、今後の情勢を考えると、日本海も決して見落とすことはできない。
◆日本海まで15キロの吉林省・琿春
中国吉林省の最東端に「琿春」という都市がある。ここは中国とロシア、北朝鮮の3ヶ国の国境地帯で、中国国境の先から日本海までは約15キロの距離だ。北朝鮮とロシアが日本海に面し、中国国境の延伸を防ぐ形となっている。しかし、今後の情勢を考えると、日本海は中国にとっての戦略的要衝となる可能性がある。2005年9月、当時の金正日政権は、琿春付近にある北朝鮮北東部の羅津港の租借権を50年中国に渡したとされる。
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