中国は日本海に出てくるのか 北極海航路、その先の「内海化」

U.S. Navy photo by Mass Communication Specialist 2nd Class Tiarra Fulgham / Wikimedia Commons

◆中国にとっての北極シーレーン
 では、日本海は中国にとってどんな意味があるのか。まず、中国は北極海への出口を欲しがっている。地球温暖化によって、北極海の海氷融解が進み、航路やその下に眠る天然資源をめぐって、国家間の獲得競争が激しくなっている。北極海航路は、パナマ運河やスエズ運河を通過する航路に比べて大幅なショートカットになり、また、世界で採取されていない石油の13%、天然ガスの30%が北極海に眠っている。

 北京は2018年1月下旬、北極開拓についての戦略を掲げた「北極白書」を初めて発表し、ロシア側の北極海沿岸を通ってアジアと欧州を結ぶ第3の一帯一路、「氷上のシルクロード」構想を打ち出した。中国は、ロシアやノルウェー、アイスランドやデンマーク領グリーンランドへ投資を拡大したり、独自の砕氷船「雪竜」で北極海横断を成功させたりするなど、積極的な関与を見せている。また、米国とロシア、ノルウェーとデンマーク、カナダの沿岸国を加盟国とする北極評議会にも、中国はオブザーバー国として長年参加し、北極開発のルール作りで影響力を高めようとしている。




Text by 和田大樹