中国は日本海に出てくるのか 北極海航路、その先の「内海化」

U.S. Navy photo by Mass Communication Specialist 2nd Class Tiarra Fulgham / Wikimedia Commons

 中国の北極シーレーンは、東シナ海から対馬海峡、日本海、津軽海峡(もしくは宗谷海峡)などを通ってベーリング海へと繋がる。よって、中国が日本海に出口を確保することは、北極海への大幅なショートカットになる。

 また、中国はすでにその先を考えているかもしれない。すなわち、北極政策だけでなく、日本海での軍事的プレゼンスを強化し、日本海を事実上の「内海」にする構想だ。日韓関係の悪化、竹島上空での中露による意図的な領空侵犯、北朝鮮のミサイル発射と続くなか、これらは一連に繋がっている事象と捉えるべきだろう。中国による日本海の「内海化」については、ロシアの行方が影響するだろうが、対米ということになると、中露朝がワンセットとなって米国や日本に対峙してくることもあるだろう。海洋をめぐる競争は、南シナ海や東シナ海、西太平洋だけではない。今後の日本海をめぐる情勢も注視していく必要がある。

Text by 和田大樹