ICJ「英のチャゴス諸島統治は違法」、返還を勧告 米が基地に利用

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 国際司法裁判所(ICJ)は、英領チャゴス諸島を、モーリシャスに返還すべきとイギリスに勧告した。チャゴス諸島のディエゴ・ガルシア島には、英米間の租借契約のもと米軍基地が建設されており、すべての島々の住人は数十年前に強制退去させられた。帰還を望む元住民たちの歓喜とは対照的に、英米にとっては厳しい状況となった。

◆基地建設の犠牲に 住民総退去の歴史
 インド洋に浮かぶ島国モーリシャスは、1810年からイギリスの植民地となり、1968年に独立した。しかしその数年前に、イギリスとアメリカの間で、インド洋の英領の一部の島を防衛上の戦略的拠点に使用するという話が始まっていた。アメリカが軍事コミュニケーション施設をディエゴ・ガルシア島に作ることに興味を示したため、イギリスはモーリシャスからチャゴス諸島を分離し、イギリス領インド洋地域という別の植民地に統合した。

                                                                                                                 

 チャゴス諸島の分離に関してはイギリスが400万ポンド払い、モーリシャス側も同意したとされている。しかし当時のウィルソン英首相との交渉に関わったアヌルード・ジュグノート氏は、「同意しなければ独立のことは忘れろ」と、脅迫されたと主張している(BBC)。AFPによれば、1968年から1973年にかけて、米軍施設建設のため、およそ2000人のチャゴス諸島民が退去させられており、当時のイギリスの外交通信文書には「少しばかりのターザンと(ロビンソン・クルーソーの)フライデー」の引っ越しと表現されていた。

 ディエゴ・ガルシア島の米軍基地は、冷戦時には主要な戦略的役割を担った。2000年代に入ってからは、アフガニスタンやイラクに対する爆撃機の出撃拠点となり、アメリカの軍事的要衝となっている。

Text by 山川 真智子