インド、仏ラファール戦闘機購入に汚職疑惑 モディ政権で価格上昇、不透明な契約

Ajit Solanki / AP Photo

◆倉庫に眠っている80年代の戦闘機を“復活”?
 ラファールの契約が紛糾するなか、インド空軍の戦闘機戦力の増強は待ったなしの状況だ。インドが、直接のライバルである中国とパキスタンの脅威に対抗するには、最低42の戦闘機部隊(各16-18機編成)が必要だとされているが、現実には31部隊しかない。予定通り今年9月から36機のラファールが順次配備されるとしても、当面の不足は到底補えない。さらには、旧式の旧ソ連製MiG-21とMiG-27が2024年までに退役する予定で、戦闘機の数量不足は深刻だ。

 そこで、インド空軍は、1980年代後半から未組立のまま倉庫に眠っている21機のロシア製MiG-29を正式配備する方針だと、インド紙タイムズ・オブ・インディアが報じている。これらは、ロシアとの再契約を経て、現行の最新型にアップグレードして組み立て・配備される可能性が高い。ちなみに、インド空軍は、既に62機のMiG-29を保有しているが、このうちの半数が2008年のロシアとの契約により、アップグレードされている。アップグレード版のMiG-29は、オリジナルの防空戦闘機に対地攻撃能力などを加えた多目的戦闘機で、耐用年数も25年から40年に引き上げられているという。

 この21機の改修型MiG-29加えても、まだインド空軍の要求を満たすことはできない。インドは国産戦闘機「テジャス」をアメリカの技術協力で開発中だが、インド空軍の幹部は、タイムズ・オブ・インディア紙に対し、「空軍はテジャスの開発を全面的にバックアップしている」と語る。予算や揺れ動く契約の流れなどから、インド空軍の戦闘機は、ロシア、フランス、イギリス製などが混在する多国籍編成だ。これに国産も加わるとなれば、さらに混沌は増す。それだけに、日本が割って入る余地があるとも言えるが……。

Text by 内村 浩介