米にとって最悪のタイミングの日韓の亀裂 「反日」で北とタッグのねじれ現象

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 徴用工訴訟判決問題などで悪化する日韓関係は、海外メディアでも広く取り上げられている。なかでもアメリカ側からの視点で、北朝鮮問題の解決に悪影響を与えるのではないかという論調が目立っている。

◆「反日」で南北が一枚岩に?
 ニューズウィーク誌(米国電子版)は、「アメリカの同盟国の日本と韓国の争いが、北朝鮮問題の協力体制を脅かす」として、日韓関係の悪化を懸念する。同誌は、韓国の文在寅(ムンジェイン)政権の北朝鮮に対する融和的政策により、「ソウルと東京の歩むコースが分岐した」とし、最近の徴用工問題などで「歴史の古傷」が再び開いたことで、日韓関係は今や危機的状況だと見ている。

 本来であれば、アメリカや日本と協力して経済制裁などを通じて北朝鮮の非核化を進めるべき韓国がいま、「反日」で北とタッグを組んでいるというねじれ現象も指摘されている。北朝鮮の国営中央通信は、徴用工訴訟の判決があった後、「日本は(南北)朝鮮の人たちに、マンパワーを失わせ精神的・心理的ダメージを与えた犯罪的過去を明確に謝罪し、国家的賠償をせよという(韓国側の)願いを聞き入れなければならない」とする主張を掲載した(ニューズウィーク誌)。

 朝鮮中央通信の論説はさらに、日本は決して過去の賠償責任を逃れることはできないとし、日本の「心からの賠償」は「世代を超えた朝鮮半島国家の願いだ」と結ばれている。「北朝鮮」「韓国」ではなく、「朝鮮半島国家」という表現を用いて日本を非難している所にも、歴史問題では日本という共通の敵を前に韓国の動きに同調する意思が見て取れる。

Text by 内村 浩介