7人に1人が死亡 地中海渡る移民・難民は減るも、死亡率は上昇 その背景とは

Libyan Coast Guard via AP, File

「海路で渡航し、下船した後に発生する問題は、人々が移民拘留センターへ送還された後、多数の人々が行方不明になっていることだ」とクシュテル特使は語り、「多くの人々が市民軍や人身売買業者へ売られている。そして、一切の報酬を受けずに労働させられている」と述べた。

 クシュテル特使は、「一時的な出国によって人身売買業者は、投資を収益化しようと試みる。つまり、より多くの人々から搾取しなければならないことになる。その結果、人身売買業者はより多くの金を儲けようとして、囚われの人々が奴隷売買、強制労働、そして売春の対象となるケースがますます増えている」と言った。

 就労を目指す人々や季節労働者は依然、リビア国内に流入している。アフリカのはるか南部の母国における不正、虐待、および横暴な独裁者に耐えかねて逃亡を試みる者もいる。または、石油産業や農業で職に就こうとする者もいる。

 クシュテル特使は、スーダン、アルジェリア、チャドおよびニジェール各国の間にまたがる砂漠を陸路で横断する危険性に言及し、「陸上で死亡する人々はもっと増えると思う」と語り、さらに「リビアの多くの人々が、リビアに向かう途中の砂漠で死亡した人々を見たことがあると報告している」と述べた。

 リビアでは、ムアンマル・カダフィ大佐亡き後7年が経過しても依然、政情不安が続いている。フランスの医療援助団体である国境なき医師団は8月31日、リビアの首都トリポリにおいて敵対する民兵どうしの抗争が同地に幽閉された人々の生命を脅かし、特に移民拘留施設での環境は人道的援助が必要なほどに悪化していると述べた。

 クシュテル特使は、誰が移民を乗せた船を救助するのかについて、一部の国々が「あきれるほどの」小競り合いを繰り広げており、ヨーロッパ各国は、人々がこのように危険な旅に出ざるをえない根本的な原因を直視すべきだと語った。ヨーロッパの人々は反移民的な考え方や行動を回避し、今は移民の人数が急激に減少しつつあること、そして移民の流れが現在の水準であれば明らかに管理可能であるということを認識すべきだという。

「ヨーロッパは主導権を示し、その対応が他の規範となるようにしなければならない。しかし、人々がリビアに到達している時点で、時すでに遅し、であることは明らかだ。我々は、人々が最初に亡命した国や生まれた国で有効な対策を施す必要があるが、それには長い時間がかかる」とクシュテル特使は語った。

By JAMEY KEATEN, Associated Press
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Text by AP