中露印らの上海協力機構が首脳会議 中国の野望と目に見えない緊張関係

中国・カザフスタン国境に位置する陸港ホルゴス(AP Photo / Ng Han Guan)

 山々が遠くにそびえ、中国とカザフスタンの国境にある遠く離れたこの場所では、中国から来た鉄道の車両から旧ソ連の一部だったこの国で使われている狭いレール幅を走る車両へとクレーンによる貨物コンテナの積み替えが行われていた。

 その光景は全て、活気あふれるKhorgos Gateway(ホルゴス・ゲートウェイ)社の日常業務の一コマだ。これほど栄えているのは、地の利、神のご加護、そして中国の経済的な影響力を西側に広めたいと考えている習近平国家主席のおかげだと、同社CEOのZhaslan Khamzin氏は話している。

「当社がここにあるのは神の意志によるものであり、カザフスタンは発展に向け絶好の立地を生かし潜在力を発揮しようとしている」と、Khamzin氏はAP通信社に語った。

                                                                                                                 

 中国北部にある港湾都市の青島で6月9日から二日間にわたって開催された上海協力機構(SCO)首脳会合の場で、中国はこのような経済的なつながりをさらに拡大させようと試みた。中国とロシアが支配するこの機構を構成する加盟8か国には、両国の他にカザフスタン、ウズベキスタン、キルギスタン、タジキスタンがあり、昨年よりパキスタンとインドが加わっている。

 2001年に創設され、北京を拠点とするSCOはもともと国境問題の解決、テロとの対決、そして(あからさまではないが)アフガン侵攻後のアメリカによる中央アジアでの影響力行使に対処するための組織であるとみられていた。

 最近では経済的な側面がより強く表れるようになっており、これは習国家主席の看板政策である、数兆ドル規模の外交政策と、一帯一路構想として知られるインフラ拡充策という形で具体化されている。一帯一路では、ホルゴスなどの中継地点が重要な役割を果たしている。

 先週のブリーフィングで中国の王毅外交部長は「この首脳会合において、地域における経済協力の推進に向け一帯一路の建設を促進していく」と発言し、この関係性をより明らかにした。

 それはいくぶん、アジアでの影響力で中国と肩を並べるインドを「奇妙な形で触れることなく排除」したことになる。SCO加盟国の中でインドだけが一帯一路の推進を認めていないと、アジア研究専門家のジョナサン・ヒルマン氏は話している。

 主催国として中国は習国家主席が唱えるインフラ施策に関する成果を求めていると、米ワシントンを拠点とする戦略国際問題研究所のReconnecting Asia Projectでディレクターを務めるヒルマン氏は述べている。しかしインドが持つ疑念が意味しているのは、この施策が全会一致で支持されない可能性があるということだ(同氏)。SCOは加盟国の合意による運営がなされているため、新たな施策の採択が困難となる。

 インドが示す姿勢の根本の一部には、中国と長年続いている紛争が関係している。両国は1962年、国境が定まっていないヒマラヤ付近で武力紛争を起こし、昨年だけでも10週間にわたり軍隊が対峙した。

 一帯一路はしぶしぶ受け入れたものの、ロシアもまた、同国が支配するユーラシア経済連合という関税同盟を通じてこの地域に経済的、政治的な影響力を拡大したい意向を持っている。さらに、専門家たちは、中央アジアの弱小国は中国の完全な支配下に入るのを避けロシアになびいているとみている。

「国力が衰えつつある現在、おそらくロシアは影響力を維持するために、中央アジア諸国をつなぎとめておこうとしているのだろう」と、国際危機グループで北東アジア担当上級顧問を務めるマイケル・コブリグ氏は話している。

 インドは安全保障面において、中国の同盟国でもある隣国パキスタンに対し、インドやアフガニスタン(SCOオブザーバー)を標的とするイスラム軍集団の取り締まりを改めて要請したことに賛同するだろう。

 中国はSCOを、広大で資源は豊富だが時に不安定になる、新疆ウイグル自治区に接する貧しい隣国を安定させる力を発揮する機関だとみている。同自治区では近年、現地イスラム系住民の過激派が数百人も殺害し、大がかりな取り締まりが行われた。

 こうした懸念があることを認識しつつ、SCOは継続して反テロリズムの取り組みを支援し、ウズベキスタンに常設本部のある「地域対テロ機構」を運営している。

 SCOには目に見えないながらも重大な緊張関係が存在するのは、経済・安全保障での役割について意見の一致をみないからだと、米コロンビア大学ハリマン研究所のアレクサンダー・クーリー教授は話す。

 より多極化した世界を望む点でロシアと中国には共通利害のあることは確認されたものの、その帰結については異なる見解を持っていると、クーリー氏は述べた。

「偽善的に介入をし、そこから便益を得ているとみている西側諸国の経済、安全保障、規範的な支配に対し、ロシアは明らかに挑戦しようとしている。中国はそれほどあからさまに修正主義を唱えようとはしていない。グローバルな経済システム、自由貿易体制から利点を受けてきたからだ」(クーリー氏)

 トランプ米大統領がイラン核合意から離脱する意思を表明し、欧州連合、中国その他の国とイランとの緊張関係が高まりつつある中にあって、SCOのオブザーバー国であるイランのハサン・ロウハニ大統領の存在も今後注目されるだろう。

 ロウハニ大統領は、可能性のある解決策について議論するほか、投資を促し、「米国の核合意離脱は驚きであるものの状況を改善させる」ために外国首脳との会合を実現させようとするだろうと、コブリグ氏は話している。

 数々の壮麗さと入念に用意された設定を好みがちな習国家主席が会合での議論を主導していくだろう。話し合いは事前に行われるか非公開であるため、興味を引こうと国営メディアが積極的に宣伝しているものの、心が躍ることはなさそうだ。

 ヒルマン氏は今回の会合の本質を次のように要約してみせた。「内容ではなくパフォーマンスに期待しよう」

By DAKE KANG and CHRISTOPHER BODEEN, Associated Press
Translated by Conyac

Text by AP

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