“日本案のほうがよかった”との声も…インドネシア高速鉄道計画、問題噴出で大混乱

◆より良い条件だった日本案
「もし政府が中国案ではなく日本案を採用していたら」そうした「IF」について考察する記事も、現地では配信されている。インターネットメディアのワスパダ・オンラインでは、国営企業省労働組合会長アリフ・ポユオノ氏へのインタビューを記事に掲載している。

「JICA、すなわち日本側から提示されていた融資条件は、総額44億ドルで年利0.1パーセント、そして10年間のグレース・ピリオドが付加されていた。一方で中国側のそれは、ジャカルタ−バンドゥン間の路線建設のために55億ドルを要する(返済期間50年、金利2パーセント)。これは中国国内の時速250キロ車両路線と比べた場合、3倍も高い」

ポユオノ氏はその上で先述の大統領令にも触れ、「政府の債務保証を必要としないと言ったリニ女史は、明らかに国民を欺いている」と語る。また、KCICが内資100パーセントではないことにも不信感を表した。ちなみにこの記事のタイトル『Proyek Kereta Cepat Usulan Jepang Lebih Menguntungkan』は、和訳すれば「高速鉄道計画は、日本案がより大きな利益をもたらしていた」とするべきだろうか。いずれにせよ、現行の計画案はインドネシアという国に大きな混乱を与えているのは事実であるらしい。

Text by 澤田真一