ロシア宇宙船の相次ぐ冷却剤漏れ、ISSに何が起きているのか? 若田光一さんの帰還は?

国際宇宙ステーション(ISS)にドッキングしたロシアの宇宙船|Sergei Korsakov, Roscosmos State Space Corporation via AP

 ロシアの宇宙船の相次ぐ冷却剤漏れによって、国際宇宙ステーション(ISS)の運用にさまざまな影響が出ている。これまで何が起きたのか。冷却剤漏れの原因は何か。今後どうなるのか。

◆プログレス宇宙船MS-21の冷却剤漏れの原因
 2月11日、ISSに係留しているロシアの無人補給船「プログレスMS-21」の熱制御システムの減圧が発生し、ラジエーターから冷却剤が漏れるという事象が発生した。宇宙船のラジエーターは熱制御において重要な役割を果たしている。特に大気圏への再突入の際、電気機器などの温度を正常に保ち、宇宙船に搭乗した人命を守る。ISSは特に危険な状態には陥らず、通常通り運用を継続している。この冷却剤の漏洩の原因については現在調査中としながらも、すでに19日にMS-21はISSからドッキング解除され、大気圏へと再突入してミッションを終えている。(スペースフライト

 一方で、21日にMS-21の冷却剤漏洩の原因は、外部からの衝撃であったという報道がある。その根拠にロシアの宇宙機関ロスコスモスは、MS-21のラジエーターに12ミリほどの穴が見つかり、ソーラーパネルにも損傷が見られることを示す写真を公開しているという。

◆今度はソユーズ宇宙船MS-22から冷却剤漏洩が発生
 2022年9月に打ち上げられたロシアの宇宙船「ソユーズMS-22」が12月に冷却剤漏れ事故を起こした。ISSのロボットアーム(カナダアーム2)のカメラで詳しく確認したところ、MS-22の推進モジュールのラジエーターに大きさ1ミリ弱の穴と変色が確認された。そのため、原因は1ミリより小さい微小隕石が衝突したのではないかとロスコスモス、米航空宇宙局(NASA)も推定している。今後、MS-22はISSから分離され、予定を変更して無人で大気圏へ再突入する予定。(スペースニュース

Text by 齊田興哉