あらゆるデザイン一新 スペースX、初の有人宇宙船を打ち上げへ

SpaceX via AP

 スペースX社が、このたび初めて有人宇宙ロケットを打ち上げる。そのなかで目を引くのは、クールな新デザインの宇宙服やガルウィングを備えたテスラカー、流線型のロケットなど、一新されたデザインの数々だ。ホワイト地にブラックの縁取りというカラースタイルがデザインの基調となっている。

 実はこのカラーコーディネートには、スペースX社とテスラ社の両方を牽引するイーロン・マスク氏の好みが反映されている。マスク氏は、宇宙をテーマにしたSF作品や短編ノベルの大ファンなのだ。

 NASA所属の宇宙飛行士ダグ・ハーレー氏とボブ・ベンケン氏の2人も、一新されたデザインを好意的に捉えている。打ち上げ実験の当日には、2人はテスラ社の電気自動車モデルXに乗り込み、ロケット発射場まで移動する予定だ。

「とても良いデザインです。私の10歳の息子も、これを着ている私をカッコいいと言ってくれています。それが何より、デザインの良さを証明していますよ」と、ハーレー氏はAP通信に語っている。

Kim Shiflett / NASA via AP

 ロケットの搭乗カプセル部分のデザインに関しては、「スペースX社は本当に良い仕事をしてくれました。外部デザインに劣らず、内装やディスプレイその他の設計に関しても、すべてが完璧に機能するよう全力を注いでくれました」とハーレー氏は話す。

 有人打ち上げテストの当日には、ハーレー氏とベンケン氏、2人の宇宙飛行士を乗せたスペースX社のドラゴンカプセルを、同社開発のファルコン9ロケットの先端に搭載。機材と天候に問題がなければ、それを宇宙に向けて打ち上げる(訳注:悪天候のため月31日に延期)。2011年にスペースシャトルの最後の打ち上げが行われて以降、NASAのケネディ宇宙センターで実施される有人機の打ち上げとしては、これが初めてのケースとなる。

 またこれは、宇宙飛行士を衛星軌道に送る事業を民間企業が行う史上初の試みでもある。過去にそれを実施したのは、ロシア、アメリカ、中国の各国政府のみだ。

 スペースX社はこの歴史的な打ち上げ事業において、デザインや見栄えを重視し、機材の名前にもこだわっている。マスク氏自身が命名したロケット名「ファルコン」は、スターウォーズに登場するミレニアム・ファルコン号にちなんだものだ。また搭乗カプセルの名称「ドラゴン」は、ファンタジックなフォークソング「パフ・ザ・マジック・ドラゴン」に由来する。この名前には、2002年のスペースX社の立ち上げ当時、実現不可能なファンタジーだとしてマスク氏の事業を懐疑的に見ていたすべての人に対する皮肉が込められているという。

SpaceX via AP

 スペースX社は、着用者ごとにカスタマイズした独自のスーツを設計・製造した。その際、最優先したのは安全性だが、それに次ぐ2番目の優先事項として、クールさ、つまり見栄えの良さも重視した。

「快適性と、人々の感性を刺激するデザイン性を重視しています」とスペースX社のミッションディレクターを務めるベンジ・リード氏は説明する。「とは言え、設計上の最優先事項は、やはり搭乗員の安全確保です」

 ハーレー氏と同様に、過去の2つの打ち上げミッションで実際に宇宙服を着用した経験のあるベンケン氏によると、過去のシャトルの飛行士が着用していたオレンジカラーのかさばる宇宙服にも、それはそれで独自の魅力があったという。実際、「アルマゲドン」や「スペースカウボーイ」などの人気映画のなかで宇宙飛行士役を演じる俳優らが身に着けた宇宙服のデザインは、決まってこのオレンジカラーの旧宇宙服のスタイルを取り入れていた。

 打ち上げ当日には、ハーレー氏とベンケン氏は、ケネディ宇宙センター内の新たに改修された宇宙飛行士区画の中で発射に備える。この区画が過去に使われたのは、1960年代の半ば、2人の飛行士を宇宙に送ったジェミニ計画のミッションにまで遡る。今回、2人の飛行士はここで、スペースX社の技術者のサポートの下、ワンピース型二層構造の圧力スーツに着替えることになる。

 その後ハーレー氏とベンケン氏は、「ニール・アームストロング・オペレーション&チェックアウト・ビルディング」と名付けられた建物のダブルドアから姿を現す予定だが、実はこのドアは、アポロ11号の搭乗クルーを務めたニール・アームストロング、バズ・アルドリン、マイケル・コリンズの3人の宇宙飛行士が1969年7月16日のミッション開始時に通ったものと同じドアだ。

 しかし今回は、そのあと2人を迎える車両は過去に使われていた「アストロバン」ではなく、テスラ社のスーパーカーのモデルXだ。その後部座席に2人は乗り込み、約14.5キロの道のりを経て、発射台のある「打ち上げコンプレックス 39A」に到着する。この施設もまた、かつての月面飛行士や多くのシャトルのクルーが使ったものと同じだ。今回2人の宇宙飛行士が飛行前に家族らと直接言葉を交わせるのは、この発射場に向かうモデルXの車内が最後となる。

 また今回のミッションでは、NASAの旧ロゴマークが30年ぶりに復活する。未来を感じさせる流線形の赤文字で書かれた「NASA」のロゴ。そのうちAの文字は、ロケット先端部のノーズコーンの形を彷彿させる。このロゴが、青い球形デザインのNASAオリジナル・ロゴマークとともに、テスラモデルX、ファルコンロケット、そして飛行士の宇宙服の各所に描かれている。

Bill Ingalls / NASA via AP

 ホワイトの宇宙服に身を包んだハーレー氏とベンケン氏の2人がホワイトのテスラカーに乗り、ファルコン9ロケットの先端に搭載されたホワイトのドラゴンカプセルへと移動していく。

「一つのショーとしても、見ごたえのあるものになるでしょう」とリード氏は確信をこめて語る。

By MARCIA DUNN AP Aerospace Writer
Translated by Conyac

Text by AP

Recommends