アマゾン、スマート防犯カメラRingへの顔認証導入を検討 警察との動画共有、プライバシー上の懸念

AP Photo / Jessica Hill

 アマゾンが、警察と動画を共有することの正統性を主張し、同社のドアベルカメラ「Ring」に顔認証技術を導入することを検討していることが、アメリカの上院議員にあてた書簡によって明らかになった。

 アマゾンはエド・マーキー上院議員に対し、自宅用セキュリティカメラへの顔認証技術の導入は「既定路線だが、まだ公表していない」とコメントしている。また、同機能の利用について法執行機関と調整する予定もないという。

 マーキー氏は9月、アマゾンCEOのジェフ・ベゾス氏に対し、同社が全国でRingの動画を法執行機関と共有する契約を結ぶことに関してプライバシーと市民の自由に対する懸念を表明した。アマゾンは警察当局に対し、家庭用セキュリティカメラで撮影された不審者の動画を共有できるRingの「Neighbors」アプリを利用するよう促している。

                                                                                                                 

 アマゾンは、特定の人物を不審者とみなして自動で警察に通報することもできるシステムを開発中だ。特許の申請によりこのことが世間に知れ渡ってからもなお、アマゾンはRingによる顔スキャン技術のさらなる向上を目指す可能性がある、とマーキー議員は警告している。

 マーキー氏は11月19日、アマゾンからの回答を公表した。

 アマゾンは同氏に対して、「Ringでは現状、顔認証技術を採用していない」とコメント。続いて同議員はベゾス氏への別の書簡で、Ringのプライバシー指針に顔認証の記載がなされている理由を尋ねた。

 続く11月1日のやり取りでアマゾンの公共政策担当副社長のブライアン・ヒューズマン氏は次のように回答している。「アマゾンでは顧客のニーズに基づき絶えずイノベーション向上のための取り組みを行っており、顔認証技術はGoogleのNest部門など競合他社のカメラにも備えつけられている。Ringのセキュリティカメラに顔認証技術を取り入れてほしいという顧客からの要望があれば、プライバシー、セキュリティ、ユーザー統制など設計に配慮した上でその機能をリリースする」

 顔認証技術について問題提起しているのはマーキー上院議員だけでない。一部の議員や市民の自由を要求する運動家たちからも、Ringと警察当局の連携について広く懸念が表明されてきた。こうした懸念に対して、アマゾンは同議員に送った書簡のなかで、動画を共有するかどうかはカメラの所有者次第である点を強調している。また警察は、12時間以上の録画動画や極端に狭い(または広い)地域を対象とする動画の提供を求めることができないともしている。

 だがアマゾンは同時に、「一定期間ののちに法執行機関に動画の削除を求めることはない」ともコメントしている。現在は利用者の生体認証情報を販売していないが、今後もその方針は変わらないと約束したものの、マーキー議員の要望に応えるものではなかった。

 マーキー議員は19日、アマゾンの製品は市民の自由に適合する状態になっているとはいえないとした上で、書簡のなかで次のように述べている。「アメリカの家庭では、(スマホと連携した)ドアベルの設置が主流になろうとしている。罪のない住民からすれば、プライバシーや市民権の保護にはほど遠い状況と言わざるを得ない。大人が犬の散歩をしたり、子供が歩道で遊ぶ程度のことで、Ring製品が人物の動画を撮影したり、それが法執行機関の手に渡り、さらに第三者と共有されたりする状況を心配しなければならないなんてことはあってはならない」

 昨年以来、600を超える警察当局がRingネットワークに登録した。多くのケースにおいて、Ringは有効な犯罪対策ツールになりつつある。マーキー議員の地元、マサチューセッツ州モールデンを管轄する警察署長のケビン・モリス氏もその一人だ。議員とは住まいも近く、1970年代からの知り合いだというが、今回の件については賛同していない。

 インタビューのなかでモリス氏は「Ringは公共の安全を確保できる貴重なツール。安全な街にするために、事件の解決と犯罪の防止につながる製品に住民が自腹を切って投資するのは悪いことだろうか」と述べている。

 だが南カリフォルニアACLU(アメリカ市民自由連合)の専属弁護士モハマド・タージサール氏は、アマゾンによるマーキー議員への回答によってプライバシーに対する重大な懸念が高まったとする。アマゾンは同議員に対し、カメラが子供の個人情報を収集しているか、また近所のプライバシーを侵害するような設置がされているかについて知る術はないとしている。

「データを販売しないにしても、またデータを法執行機関に提供しないにしても、『潜在的に偏見、人種差別、階級差別が生じ得る』と住民が口にするメカニズムを作り出し、それを玄関先で助長している」とタージサール氏は語る。

By MATT O’BRIEN AP Technology Writer
Translated by Conyac

Text by AP