サムスン新機種「Galaxy S9」試用レポート 写真の画質をライバル機と比較

AP Photo / Manu Fernandez

 サムスンによると、新しいGalaxy S9の特徴は「再定義された」カメラだ。しかし今持っているスマートフォンに死が近づいてでもいない限り、この新しいスマートフォンに$720以上も払いたいとは思わないだろう。

 なぜなら、他のハイエンド端末に搭載されているカメラもかなり優れているからだ。今日ではカメラの性能はスマートフォンの主要な差別化要因の一つである。もし最近のスマートフォンを持っていれば、恐らくすでにきちんとしたカメラが搭載されているだろう。技術の進歩により、今や最新の機種の間ではほとんどカメラの性能の差がなくなっている。

 多くの試し撮りでは、S9はAppleのiPhone X、GoogleのPixel 2 XL、サムスン自身のGalaxy Note 8等のライバル機種を凌駕していた。静止画はより微細で、歪みが少なかった。しかし撮影された画像を注意深く見ないことには、はっきりとした違いはわからない。色調は異なるが、それは個人の好みによるところだ。いくつかの場合では、S9は他の3機種よりも悪い結果だった。

◆光量調節機能
 主要なスマートフォンとしては初めて、S9には可変絞りが搭載され、光量を調節できる。低照度での撮影時には、ごく短時間に12回連続でシャッターが切られ、ソフトウェアにより最良の状態になるよう合成される。

 これらの変化により、写真の画質が少し改善された。夕方の空はより暗く、歪みがより少なく写る傾向があった。アブラハム・リンカーンの像は、画像が粗くならなかった。S9で撮った静止画は、多くの場合白と黒のコントラストがはっきりしていた。

 しかしこれらの違いは非常に小さかった。良い写真を撮るためには、手ぶれしないように手をしっかり固定することのほうがより効果的だろう。

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左上から時計回りで、Galaxy S9、iPhone X、Pixel 2 XL、Galaxy Note 8で撮られた写真。色調の違いはあるものの、いずれも低照度での撮影にも関わらず綺麗に撮れている(Nick Jesdanun / AP Photo)

◆スーパースローモーション機能
 サムスンの新しいカメラの持つ最大の特徴はスーパースローモーション機能だ。ジャンプしている人々は、凍りついたように見える。滝がちょろちょろと流れるところは、死んだような静けさだ。この機能はおもちゃの蛇が缶から飛び出してくるという古典的ないたずらに新しい視点をもたらしてくれる。蛇が空に浮かんでいたら、それほど怖くはない。

ちょっとした仕掛けだが、楽しい機能だ。

 このスーパースローモーション機能では、一回に5分の1秒の長さしか編集できない。再生するときには6秒間かけて再生される。そのため適切な瞬間を切り取るためには、自動検知機能が鍵となる。ゆっくりジャンプする人々を見るのは楽しいが、地面にほとんど着地してしまってからスローモーション機能が作動しても面白くない。多くの試行錯誤が必要だった。

 さらに静止画や通常の動画と比べると、ズームアップした際は特に、スーパースローモーション動画ではより暗く、粗く映る傾向がある。この機能は、光が十分で動く対象物が十分遠くにある戸外で最も実力を発揮するだろう。

◆何とおっしゃいましたか?
 サムスンのバーチャルアシスタントであるBixbyは、カメラをタップすることにより簡単な翻訳を行ってくれる。標識などにスマートフォンを向けるだけで、英語や選択した他の言語で何という意味なのか、似たフォントと色で表示してくれる。

 Bixbyは、似た機能を持つ、Pixelスマートフォン搭載のGoogleレンズよりも文字認識機能が優れている。しかしタイ語、ポルトガル語、フランス語で「止まれ」を意味する標識はそれぞれ「一番」「盾」「狂った」と訳された。しかし、インドネシア語は正しく翻訳することができた。Bixbyはポスターや文書の中の長い文章にも対応が可能だ。

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Bixbyを使って標識を翻訳するGalaxy S9+(Richard Drew / AP Photo)

◆ダイエットの助けに
 カメラを食べ物に向けると、栄養成分が表示される。ハンバーガーとオニオンリングにカメラを向けてみたところ、大体正確なカロリーが表示された。しかし、ローストビーフサンドイッチは上手に認識されず、角度によってパストラミサンドイッチかキューバンサンドイッチと認識された。

 カロリーは全て1人前として表示されるため、今食べたマカロニチーズが実際は3人前で、すなわちカロリーも3倍であると教えてくれるBixbyほど有用ではない。しかし画面に表示されなかったカロリーは、体重増加の原因にもならないのではないだろうか?

◆その他の特徴
 S9よりも大きいS9+モデルには、2倍の拡大性能を持つセカンドレンズが搭載されている。筆者はS9+をテストしていないものの、他機種の同様な機能のほうがズーム写真を撮るのに適している。

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デュアルレンズカメラを搭載したGalaxy S9+(Richard Drew / AP Photo)

 S9、S9+いずれも、セルフィーから自分だけの絵文字を自動生成し、メッセージ機能でシェアできる機能を備えている。気に入る人もいるかもしれない。しかし筆者には必要ない。次の機能の紹介に移ろう。

 新機種は、顔認証によるロック解除がより容易になっている。過去のサムスンのスマートフォンにも虹彩認証機能はあったが、明るい太陽光の下ではうまく作動しないことがあった。S9では顔認証によってこれを補っているが、安全性はいささか低下した。そのため、銀行口座の取引や他の注意が必要なアプリではサムスンは顔認証を使用していない。ロック解除には顔認証を使用できるが、気になる場合はこの機能をオフにできる。いずれにせよ、眼鏡をかけている場合は相変わらず認証が難しい。バックアップとして背面には指紋センサーもついている。カメラのレンズに汚れをつけないため、指紋センサーの位置は少し移動した。

 それ以外に、スマートフォンのデザインは昨年のS8から大きく変わっていない。しかしそれで構わない。壊れていないものを直す必要はないのだから。重要なのは電話の機能と、カメラの機能だ。

By ANICK JESDANUN, AP Technology Writer
Translated by Y.Ishida

Text by AP