子供にとってSNSは有害? FBの子供向けアプリ、専門家らが配信停止を要求

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 昨年12月、フェイスブックは子供向けのSNSアプリ「フェイスブック・メッセンジャー・キッズ」をリリースした。このアプリは通常版のメッセンジャーと比べて大幅に機能を制限しており、「子供に優しい」ことを標榜していた。しかし、同アプリの是非をめぐって早くも論争が起こっている。

◆配信中止を求める声
 テック系ニュースサイト『PCMag』が伝えるところによると、1月30日に多数の児童の擁護団体や専門家が連名でフェイスブック・メッセンジャー・キッズの配信中止を求める書簡をフェイスブックに提出した。書簡では、同アプリがユーザと想定している子供は適切にSNSを活用する能力を十分に身に付けていないことを主張している。そのうえで、未成熟なユーザがSNS機能を使うことを可能とする同アプリは、家族と社会に悪影響を及ぼすので配信を中止することを要求している。

                                                                                                                 

 批判があがっているものもフェイスブックとしては、同アプリは十分に子供に配慮しているという自信があったからこそリリースしているようだ。同アプリのインストールは両親が行い、友だちの登録も両親が管理する仕様になっている。子供どうしの交流も両親が閲覧可能だ。さらに広告は表示されず、サービス改善の目的でユーザの使用データも収集しないことを約束している。同社の認識としては、同アプリは広告収入を放棄してまで安全性を確保した非常にセーフティなものとなっている。

◆それはタバコやアルコールと同じ
 フォーチュン誌は、サンディエゴ州立大学教授ジーン・トウェンギ氏の同アプリに関する論説記事を掲載し、手厳しく批判している。SNSに関する研究によれば、1日に3時間以上SNSを利用する若年者は憂鬱、孤独感、睡眠障害にさいなまれる傾向が高くなり、SNSの利用が自殺を引き起こす要因にもなっている。スマホが普及した2012年以降、若年層のうつ病、自傷行為、自殺が急激に増えたという研究報告もある。

 加えてSNSの利用に関してもっと恐ろしいのは、SNS依存症に陥ることだとトウェンギ氏は指摘。依存症の要因となるという意味で、SNSはたばこやアルコールと同様の法的規制があって然るべきで、未成年向けのSNSは配信禁止にすべきと主張している。そして、トウェンギ氏は現在の規制のゆるいSNSに関して、まるでたばこ産業が子供用ではあるが依存性のあるミニタバコを売り出しておきながら、一日に吸える本数の規制をしないようなものだと揶揄している。

◆それはデジタル・ネイティブのための教育ツール
 一方でフォーブス誌は、若年層のテクノロジーの利用を啓発するNPO団体コネクト・セーフティーのCEOを務めるラリー・マギッド氏の投稿記事を掲載した。件のアプリの開発に関してフェイスブックに助言していた同氏はSNSの悪影響を承知したうえで、それでも子供向けSNSは意義のあるアプリだと主張する。子供向けSNSは、子供たちが将来SNSを安全に使いこなすためのトレーニングの機会を提供するからだ。子供に突然SNSを使うことを許可するより、機能制限のあるもので経験を積ませた後に大人向けSNSを利用させるほうがずっと安全ということだ。

 以上のように主張したうえで、同氏は現在のフェイスブック・メッセンジャー・キッズはまだ制限が緩いことを指摘する。同アプリは、使用時間の制限を設定できないのだ。そして、同氏はフェイスブックに子供向けSNSのさらなる改善を要求すると同時に、子供にSNSを使わせる両親にも努力を求めている。「ご両親には自分たちの子供がどのようにデジタル・デバイスとアプリを使っているかを定期的に点検することを強くお勧めします」と同氏は記事で訴えている。

Text by 吉本 幸記

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