オーストラリアが宇宙機関創設へ 「戦略的な長期計画で産業振興」

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【オーストラリア、キャンベラ・AP通信】 オーストラリア政府は今月25日、3,300億ドル(約37兆円)規模の宇宙産業における自国のシェア拡大に向け、国の宇宙機関を創設すると発表した。

 マルコム・ターンブル首相は、宇宙機関がオーストラリアの技術革新及び科学産業発展の一端を担うだろうと述べた。しかし政府はその詳細について多くは明言していない。

 ターンブル首相は報道陣に向け、「それは調整と先導を担う小さな機関だ」と語っている。「しかし宇宙産業は言うまでもなく、莫大な可能性を秘めた産業のひとつだ」

 オーストラリア産業・イノベーション・科学担当大臣代理ミケイリア・キャッシュ氏は、3月末を目途に宇宙機関の憲章を制定するとしている。

 キャッシュ氏は声明を発表し、「宇宙産業は世界的に急速な成長を遂げている。オーストラリアもこの成長に参加することが極めて重要だ」と述べた。

 キャッシュ氏はまた「国の宇宙機関があれば、宇宙技術の開発とその応用の土台として国内の宇宙産業を推進するような、戦略的な長期計画を確立できる」とも発言している。

 野党の労働党は、政府が3,300億ドル(約37兆円)規模と推定する世界宇宙産業において、オーストラリアのシェアを1%以下から引き上げるためには、宇宙機関が必要だと言う。

 労働党はまた、経済協力開発機構(OECD)に加盟する35ヶ国のうち、宇宙機関を所有していないのはオーストラリアとアイスランドのみであると指摘した。

 オーストラリアは1967年に、世界でも数少ない衛星打ち上げ成功国のひとつとなった。また、ニール・アームストロング氏が月に最初の一歩を踏み出した時の映像は、オーストラリアにあるNASAのハニーサックル・クリーク追跡基地で変換されたものだ。

 このような成功を収めながらも、政府はコストの問題から宇宙機関の設立には否定的な態度を示してきた。新設予定の宇宙機関に対し、政府がどれだけの投資をするかはまだ明らかになっていない。

Translated by t.sato via Conyac

Text by AP