海底菜園、CO2・プラごみ回収 海での環境負荷低減テクノロジー

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◆海水からCO2を除去する「ダイレクト・オーシャン・キャプチャー」

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 大気中のCO2を直接回収する技術の「ダイレクト・エア・キャプチャー(DAC)」は実用化が進んでいる。2030年の時点で史上最大になるというDACがアメリカで建設中だが、同国では海洋を活用して大気中のCO2を除去する技術「ダイレクト・オーシャン・キャプチャー(DOC)」の研究も進められている。

 2021年設立の、カリフォルニア工科大学のスピンオフ企業「キャプチュラ」は、大気中のCO2が海水に吸収されるという性質を利用する。同社のDOCシステムでは、海水をプラント(機械)内に引き込み、再生可能エネルギーを使って海水を電気処理しCO2を抽出する。CO2を含まない海水は海へ戻され、海水はまた大気から自然にCO2を吸収する。抽出したCO2は永久保存したり製品に利用される。

 最初のプラントは2022年からカリフォルニアで稼働し、年間1トンのCO2を回収している。昨年、2つめのプラントの実証試験がロサンゼルス港で始まり、年間100トンのCO2を回収中。今年はカナダとノルウェーでも実証試験を行う予定だ。カナダでは、最終的には年間10万トン〜100万トンを回収するプラントの建設を目指す。一方、ノルウェーのプラントでは年間1000トンを回収する予定。回収されたCO2は北海の海底に永久保存するという。

 北海の海底を提供するのは、回収したCO2をヨーロッパ中から輸送し貯留するサービスを提供する、ノルウェーのノーザン・ライツだ。ノーザン・ライツも新しい取り組みで、今年からサービスを開始し、年間最大150万トンのCO2を貯留できる見込みだという。

Text by 岩澤 里美