ニューヨーク市、犬の糞も回収して堆肥へ 公園にコンポスト箱置きテスト

バッテリーパーク公園の犬糞コンポスト(筆者撮影)

◆糞のリサイクルを試験的に開始
 そんななか、公園の遊歩道や川沿いの散歩道に犬の糞の放置数が増えるのは、市の景観や環境保護、衛生上にも良くないと、マンハッタン最南端の金融街に位置するバッテリーパークシティ管理局は、2019年から試験プログラムとして犬の糞用のコンポスト※箱を設置した。現在バッテリーパークシティ近辺の3つのドッグラン公園内8ヶ所に犬糞用コンポスト箱が設置されている。

 バッテリーパークシティ管理局では、放置された犬の糞が増えると温室効果ガスや環境問題に影響し、公園の溜め池水や土壌を汚染し病原菌や寄生虫を広める原因にもなるとし、同プログラムの正式な早期実現を目指している。

 堆肥化の状況やプログラムの機能の改善を試みながら、犬の糞用コンポスト箱の脇に長い柄の専用スコップが設置されている。その専用スコップと新聞紙を使って愛犬の糞をその箱に入れるという利用者にはわかりやすい仕組みだ。

◆樹木の堆肥へ再利用
 堆肥化プロセスとして、バッテリーパークシティ管理局の職員がコンポストに入っている犬の糞を回収し、木々の落ち葉や伐採した木の枝を粉砕したウッドチップなどの有機物と一緒に混ぜ合わせてコンポスターに入れる。コンポスターの中でバクテリアなどの微生物が犬の糞を堆肥に変える。

 バクテリアによって堆肥にされた犬の糞は、管理局の職員が有害物ではないか、健康に害がないかなどの安全性を確認した後に公園の土壌に配分されたり、木々や植物の栄養肥料として再利用される。

 バッテリー・パークのドックラン公園で愛犬の散歩をするクリスティーナさん(仮名)は、筆者のインタビューに対し、「ペットが多いニューヨークで、散歩中に犬の糞を肥料化する箱があるのはとても良いアイデア。でもまだ試験プログラム中だから、公園で散歩する時しか犬の糞をコンポストに提供できないの」「自宅で出る糞は、そのまま生ごみに混ぜて一緒にごみ箱に捨てているから、犬の糞のコンポスト箱が市内の身近な公園にもっと設置されて増えると良いと思う」とコメントした。

Text by 古市裕子