ニューヨーク市、犬の糞も回収して堆肥へ 公園にコンポスト箱置きテスト

バッテリーパーク公園の犬糞コンポスト(筆者撮影)

 ニューヨーク市では、愛犬の糞(ふん)もコンポストする堆肥プログラムを2019年から推進し各国の行政からも注目を集めている。犬の糞をコンポストで堆肥化することはサステナブルな観点からも環境保全にメリットがある。ちなみに、イギリスやカナダでは、犬の糞の堆肥化はさらに進んでいるようで、犬糞から発生するガスを電力に変えて公園の街灯に使用し、残物を堆肥化して再利用しているという。

◆コロナで犬を飼う人が増加、糞の放置も
 ニューヨーク市の統計によると、市内に60万匹以上の犬が暮らしているとされ、愛犬たちが散歩中の1日に出す糞の量は約74トン、年間で2万7000トンになると推計されている。

 そんなニューヨークでは、2020年3月の新型コロナウイルス対策のロックダウンから、特に金融街のバッテリーパークシティ近辺に住む裕福層エリアで、家族としての犬や猫を飼い始めた人が増えている。確かに筆者も、川沿いの歩道や公園に行くと、愛犬を連れて散歩をしている人が明らかに増えているのを実感する。バッテリーパークシティからイーストリバーを挟んだ隣区ブルックリン高級住宅街の周辺でも数分ごとに愛犬の散歩をしている飼い主に遭遇する。

 この状況から、散歩中の犬の排便が増えるのも当然で、コロナ禍から歩道に放置される犬の糞も以前より頻繁に見られるようになった。

 ちなみに、散歩中の愛犬の糞を放置した場合、飼い主はその場で1回につき最大250ドル(約3万5000円)の罰金を科せられることが、市の条例で決められている。それでも散歩中に見つからなければと、飼い主による公園や川沿いの遊歩道での犬の糞の放置は増えているのが現状だ。

Text by 古市裕子