仏、鉄道で2時間半で行けるフライト禁止 欧州で短距離禁止の動き

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 地球環境に負荷を与え、気候変動を引き起こす要因の一つといわれている航空機。燃料の燃焼によって排出される大量の温室効果ガスが問題視されている。フランスで、航空機の二酸化炭素(CO2)削減対策の取り組みが進められている。世界をリードする策とは……。

◆パリ・オルリー空港とリヨンなど3路線運航禁止に
 フランスは5月23日、列車で2時間半以内に移動できる都市間の国内線航空機の運航を禁止する法案を成立させた。クレマン・ボーヌ運輸相は、「同法はグリーンハウス・ガス排出量削減対策にとって、必要不可欠で非常に象徴的な措置になる」と同法の成立を評価した。運航禁止になる路線は、パリ・オルリー空港とリヨン、ナント、ボルドーを結ぶ3路線になる。乗継便には影響しない。

 同法案は2021年に同国の気候変動対策法の一環として提出された。その時点では、列車で4時間以内に移動できるパリ・シャルル・ドゴール空港とレンヌ、マルセイユを含む5路線の運航停止が盛り込まれていた。しかし、航空業界からの強い反対を受け、現行の内容に変更された。(ユーロニュース、6/1)

 また、欧州連合(EU)が同法導入の条件として、路線の都市間を2時間半以内に移動できる高速鉄道が走行していること、旅行者が目的地で最低8時間の滞在を可能にする早朝または夜間運行の列車が運行していることを課したことから、3路線に変更された(CNN、5/23)。

Text by 中沢弘子